■ 嫁姑問題をコメディタッチに描いた『長男の嫁』
木曜22時からは、TBS系で『長男の嫁』がスタートしている。同作は、3兄弟の長男に嫁いだ浅野ゆう子さん演じる中村美里が、野際陽子さん演じる姑の節子とバチバチのバトルを繰り広げながら次第に家族としての絆を深めていくホームコメディだ。
嫁姑という現実的な問題や家族の絆というテーマをユーモアたっぷりに描いたことで、様々な層の視聴者を取り込むことに成功。平均視聴20.5%を叩き出す人気作品となった。
作品の良さを高めていたのは、やはり野際さんの存在だろう。野際さんは、ちょっとキツイが愛のある姑役を演じさせれば右に出るものがなく、『長男の嫁』でも、仕事を辞めない美里にイライラを募らせながらも、あれこれと気にかける姿が何とも言えないいい味を出していた。
■矢沢が出演した貴重なドラマ『アリよさらば』
90年代のドラマブームは、貴重な人物の起用も観ることができた。それが1994年4月15日から金曜21時にTBS系で放送された、矢沢永吉さんが主演のドラマ『アリよさらば』だ。
同作は、大学でアリを研究する矢沢さん演じる主人公・安部良太が、3か月の限定で私立愛陽高校3年C組の臨時担任を務めることになるというもの。第1話の冒頭から安部のシャワーシーンがあり、またスーツに着替えネクタイを締めるという、矢沢さんのイメージとはまったく違うショットもあり、当時のファンはさぞや驚いたに違いない。
ドラマは全12話で放送され、不登校にイジメに女子生徒の妊娠など、学校を舞台にしたさまざまな問題が立ちはだかり、臨時とは言いながら全力でぶつかる安部の型破りな教育姿勢が涙を誘うものだった。
また生徒役には加藤晴彦さんに小沢真珠さん、TOKIOとしてCDデビュー前だった松岡昌宏さんに長瀬智也さん、井ノ原快彦さんといった俳優たちが若々しい姿で出演していた。
改めて振り返ってみても、話題を席巻した『家なき子』に、その後の人気シリーズ『古畑任三郎』の第1作、そして伝説のロックシンガーのドラマと、1994年春ドラマのラインナップはあまりにも豪華。この他にも「姉さん、事件です」でおなじみのドラマ『HOTEL』(TBS系)のシーズン3や、内田有紀さんの『17才-at Seventeen-』(フジテレビ系)、唐沢寿明さんと牧瀬里穂さんの『西遊記』(日本テレビ系)なども放送が始まった。
当時、毎日「今日はあのドラマを見よう」とワクワクしていた人は多いだろう。DVD化されていない作品も多々あるが、いつかまた視聴のチャンスが訪れることを願うばかりだ。