30年前のドラマが“神作”ばかり!『古畑任三郎』第1作に矢沢永吉『アリよさらば』も…「1994年春ドラマ」のすごすぎるラインナップの画像
ドラマ『家なき子』(C)NTV

 90年代はテレビドラマの全盛期。放送される作品はどれも軒並み高視聴率を叩き出し、放送翌日には多くの人々が「昨日のドラマ見た?」と盛り上がったものだ。

 この時期になると、4月から放送されるドラマの中からどの作品を見ようかと出演者情報などをチェックするドラマファンは多いと思うが、今から30年前となる1994年春スタートの作品群は“選び切れない”ほど、濃いラインナップだった。当時はトレンディドラマの全盛期ながら、シリアスものから刑事ものまで幅広いタイトルが並び、視聴者の目を釘付けにした。

 今回はそんな1994年の人気ドラマを、4月スタートの「春クール」で放送された作品に絞っていくつか振り返っていこう。

■「同情するなら金をくれ!」がブームを巻き起こした『家なき子』

 1994年放送のドラマを語るうえで欠かせない作品といえば、日本テレビ系で土曜21時から放送されていた『家なき子』だろう。平均視聴率24.7%という高い数字をキープし、最終回には瞬間最高視聴率37.2%という驚異の数字を叩き出している。

 物語の序盤から、盗み、殺人、放火などダークなネタのオンパレードだった同作。当時12歳だった安達祐実さんが、壮絶な家庭環境の中で育ち、激しいDVやいじめにあいながらも過酷な人生に抗って懸命に生きる主人公の相沢すずを演じ、その素晴らしい演技力で日本中を魅了した。

 敵ばかりだったすずにとって、唯一の家族だった愛犬リュウの存在も忘れられない。どんな時もすずに寄り添い、身を呈してすずを守る姿は胸を打ったものだ。

■新境地を開拓した刑事ドラマ『警部補・古畑任三郎』 

 フジテレビ系の水曜21時からは、三谷幸喜さん脚本による傑作ドラマ『警部補・古畑任三郎』がスタートしている。平均視聴率14.2%と飛び出て高くはないが、話数が進むにつれ人気が高まり、ドラマ3シーズン、スペシャル作品9本が制作されるほどになった。

『古畑任三郎』は、『刑事コロンボ』のような倒叙ミステリーの作品だ。ゆえに視聴者は、「犯人は誰か」ではなく「古畑がどうやって犯人を突き止めるか」を軸において見ることになる。そこに田村正和さん演じるクセの強い古畑のキャラ、視聴者への語りかけ、三谷さんの脚本ならではの喜劇といった要素が加わり、作品の面白さを高めていた。

 もう一つ、大きな特徴として犯人役のゲスト俳優が豪華な点が挙げられる。この第1シーズンでは、記念すべき第1話「死者からの伝言」の中森明菜さんをはじめ、桃井かおりさん、坂東八十助(現:坂東三津五郎)さん、笑福亭鶴瓶さん、堺正章さんなどが出演していた。

■ドロドロな不倫劇の結末に注目が集まった『出逢った頃の君でいて』

 次に見ていくのは、内館牧子さん原作の漫画を原作としたドラマ『出逢った頃の君でいて』だ。日本テレビ系で水曜22時から放送された同作は、陣内孝則さん演じる商社社員・三輪圭介と、酒井法子さん演じるOL・大里ナナの許されぬ恋を描く不倫ドラマだった。

 トレンディドラマらしく、ストーリーはかなりドロドロ。二人の不倫はさることながら、圭介の妻(中川安奈さん)が圭介の部下(風間トオルさん)と不倫していて、子どもはその不倫相手の子だった……という驚きの展開が繰り広げられ、さらなる衝撃的なラストへと向かっていく。「次はどうなるの?」と、ハラハラしながら見ていたという視聴者は多いはずだ。

 主題歌は、ドラマとリンクする切ない歌詞とポップなメロディが印象的な竹内まりやさんの名曲『純愛ラプソディ』。この曲を聞くたびに、ドラマを思い出すという人は、筆者だけではないだろう。

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