■自分で自分を裏切らないための熱い応援
最後は、第11話「死と友情と」のセリフ。
松村雄基さん演じるクールな不良・大木大助をはじめとする個性的なキャラぞろいの同作において、やはり「イソップ」の存在は外せないだろう。
高野浩和さん演じる奥寺浩は、ラグビーに不向きな貧相な体格から、イソップ物語に登場する痩せたキリギリスになぞられ「イソップ」と呼ばれていた。ところが、ラグビーに対する姿勢はひたむきで、彼の姿が大助の心を揺り動かすほどであった。
部員たちの心の支えでもあったイソップは、偶然にも自身が脳腫瘍で余命数か月だと知ってしまう。死の恐怖から自暴自棄となり、自殺を考え、手術を恐れ、ついに現実逃避のためトルエン(劇物)を吸うほど追いつめられてしまうのだ。そんな彼に滝沢は、イソップがデザインしたユニフォームを見せながら次のような言葉をかける。
――「俺たちを裏切るのはかまわんが、お前は、お前は自分を自分で裏切ろうとしているんだ」
ユニフォームに込められたイソップの思いは「どんなことがあっても戦おう」であり、だからこそ滝沢や仲間たちはそのデザインを採用したのである。
また、「俺たちを裏切るのはかまわん」 には「お前は一人ではない、俺たちがいる(から迷惑をかけろ)!」……、そんな滝沢の熱い応援が描かれる、涙なくしては見られないエピソードだ。
以上、滝沢の名セリフを振り返ったが、番外編としてもうひとつ取り上げたい。
――「確実にミスしない方法がひとつだけあります。何もしないことです。生きてて何かすればミスをするのは当たり前です。人間には失敗する権利があります」
これは、河川敷で練習していた社会人チームに対し外国人コーチが語ったもので、それをたまたまランニング中の滝沢と部員たちが耳にした。誰もが失敗(ミス)を恐れるが、失敗を恐れていては何もできない、そして失敗をしても良いのだと背中を押す力強い言葉でもある。
――「信は力なり」
規格外のドラマ『スクール・ウォーズ』には、今の私たちにも通じる熱い名セリフが詰まっているのだ。