■漢字の「花」を十書いたら花束に、百書いたら「花園」に

 次に紹介するのは、第4話「開かれた戦端」より、何ともロマンチックな名セリフだ。

 同作は不良生徒たちがラグビーで全国制覇を目指す物語で、不良生徒たちがどんどん日々のやる気を出していく姿が感動を呼ぶ。

 ある日、落ちこぼれの生徒・内田勝は、滝沢に勉強を教えてほしいと頼む。高校3年生の内田が取り掛かった勉強は、小学校低学年で習う「花」という漢字の書き取り。ノートに「花」の字を書く内田に、滝沢が書き順がめちゃくちゃだと指摘し、黒板を使って正しい書き方を教えるという、ほがらかなシーンだ。

 花の字を書くうちに、内田は「花って字、十書いたら花束みてえだぜ」と何気なく口にする。それまでまったく勉強をしてこなかった生徒が学ぶ喜びを知ったシーンだが、そこで続けて「(花を)百書いたら……」と尋ねた彼に、滝沢は「“花園”だな。“花園”になるまで書いてみろ!」と返したのだった。

 これはラグビーの全国大会が行われる「花園ラグビー場」という意味だが、内田の"やる気"に対して教師・滝沢がまったく茶化すことなく返した、同作の名シーンのひとつだ。

■お笑い芸人も持ちネタにしたインパクト

 続いては第8話「愛すればこそ」より、ようやくラグビー部としての一歩を踏み出した川浜高校が、初戦で全国大会常連の強豪・相模一高とぶつかる。

 いきなりの強敵との試合に、部員たちは戦う前からヤル気を失い、試合は109対0と記録的な大惨敗となる。試合後の部員たちといえば、汗もかかず、ユニフォームは泥にまみれていないうえ、負けたという悔しささえ滲ませてはいなかった。

 そんな彼らに滝沢の怒りは爆発し、鉄拳とともに熱い名セリフが生まれる。

――「よく考えてみろ、相手も同じ高校生だ! 同じ歳、同じ背丈、頭の中だってそう変わらんだろ!」

 さらに、部員たちが(最初から諦めて)「0点」で終えたことに対しても言及する。

――「お前ら“ゼロ”か? “ゼロ”の人間なのか? 何をやるのもいい加減にして、一生“ゼロ”のまま終わるのか?」

 悔し涙を流す滝沢の思いに揺さぶられ、部員の森田光男は「悔しいです!」と声を絞り出すと、今までは負けるのが当たり前だとごまかしていたことを吐露するのだ。まさに、本作で1、2を争う熱い名シーンだ。

 ちなみに、この「悔しいです!」が持ちネタのお笑い芸人・ザブングル加藤さんは、後にロッテのアイス『モナ王』CMのスペシャルムービーで『スクール・ウォーズ』と夢のコラボを果たしている。

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