ゲームのクリアでは、主人公たちは大体がハッピーエンドを迎えるが、中には「サッドエンド」や「バッドエンド」といったような残念な結末を迎える作品も存在する。
それまでの冒険がドキドキワクワクな物語だった場合、エンディングはそれまでとの落差で悲しみ倍増である。そうした、意外なエンディングを迎えるゲームは最近のものだけでなく、今よりはるか前、ファミコンやスーパーファミコン時代にもあったもの。RPGでラスボスをクリアして、さぞ感動的なエンディングが流れると思いきや……子どもながらに主人公が受けた悲しみに感情移入をしたという人も多いだろう。
そこで今回は、見返すと悲しくなってしまう、レトロゲーム時代の「意外なエンディング」をいくつか振り返っていきたい。
※以下には、ゲーム『天地創造』『ゼルダの伝説 夢をみる島』『アルバートオデッセイ』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■少年の大冒険だが最後はちょっと悲しい『天地創造』
まずは、1995年にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたスーパーファミコン用アクションRPG『天地創造』のエンディングを振り返りたい。
同作は、スーファミの名作アクションRPG『アクトレイザー』や『ソウルブレイダー』『ガイア幻想紀』と同じソフトメーカー「クインテット」の開発によるもので、これらと並び、アクションRPGとしての面白さやストーリーの独自性が高く評価される一作である。
ストーリーの目的は、失われた地上の世界を蘇らせること。主人公・アークは、いたずらが好きな普通の少年だったが、突如として地上世界を蘇らせる宿命を負うこととなる。そして、アークは大陸を復活させ、人間を含む動植物を復活させることに成功する。その後も文明発達に奔走することになり、その過程で仲間が増えていく。
終盤、黒幕であるラスボス・ダークガイアとの戦いに勝利するが、実はアークはダークガイアに作られた存在で、ラスボスに作られた存在であるアーク、そして、その故郷も消滅する定めとなるストーリーとなっている。
アークは消滅する直前に、走馬灯のように、渡り鳥となって世界を飛び回る夢を見るので、今まで自分で復活させた世界を眺めて満足して消滅していく……という救いは用意されている。また、最後の最後に、ヒロインであるエルの元に誰かが訪ねてくるという意味深な描写がある。その後、どうなったかは全く描かれていないが、何らかの形でアークが会いに来たのかもと、想像させる最後ではある。
そういった救いがあるものの、普通の少年であるアークが、全てが済んだら故郷ごと消えてしまう儚さは心に響く。また、物語を通して親しくなる仲間も、終盤、少なくない人数が死亡してしまったりと、特に終盤はハードな展開が続く。そのせいか、プレイ後には悲しみが残るゲームであった。
■悲しい夢オチ『ゼルダの伝説 夢をみる島』
続いては、任天堂『ゼルダの伝説』シリーズより、ゲームボーイ用のアクションアドベンチャーゲーム『ゼルダの伝説 夢をみる島』。
同作のストーリーは、航海中に嵐にあったリンクが、流れ着いた先である「コホリント島」を脱出するために冒険するというものだ。
ゲームの舞台であるコホリント島は、島という設定ながらもかなり広大。広いフィールドを走り回りながら謎解きするのは、冒険感があり楽しい。
また、本作のヒロインであるマリンは、漂着したリンクを介抱してくれた女の子で、イベントでたびたび登場し、時にはリンクと一緒に冒険することにもなる。島のアイドル的存在であり、そのグラフィックの良さも相まって人気が非常に高いキャラクターだ。その他の島の住人もキャラクター性が高く、リンクの冒険に花を添えてくれる。
そういったこともあり、プレイしていくうちに、コホリント島にも住人にも、思い入れが強くなっていくことだろう。
しかし、冒険の途中で驚愕の真実が明かされる。実は、コホリント島は「かぜのさかな」という神様の夢だったのだ。そして、リンクが島を出るには「かぜのさかな」を夢から覚ます必要がある。
ラスボスを倒し、「かぜのさかな」を目覚めさせたリンクは、壊れた船の残骸にしがみつきながら海上に浮かんでいたというエンディング。つまり、夢の世界は消滅してしまったのである。
データをロードすれば、また冒険の途中、島の存在する状態から始められるとはいえ、『ゼルダの伝説』の物語としては、コホリント島も、島の住民もなかったことになるというのは、なかなかに物悲しい最後である。