『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういちさんに、『ファイナルファンタジー』の植松伸夫さん、『ロマンシング サ・ガ』の伊藤賢治さん、『キングダム ハーツ』の下村陽子さんなど、名作ゲームの音楽を手がけたとして有名な作曲家は多数いる。
中には著名なミュージシャンを起用したゲームも多々あり、実は意外な人物がデビュー前に作曲を手がけていた……なんてタイトルも。
今回は、そうしたアーティストたちが作曲したゲーム音楽を見ていこう。
■曲調と世界観がベストマッチ、坂本龍一さんの『聖剣伝説4』
まずは、2023年3月に亡くなった坂本龍一さんが手がけたゲーム音楽から。
テクノユニット・YMOのメンバーとして活躍し、作曲家として1988年に映画『ラストエンペラー』で日本人初のアカデミー賞・作曲賞を受賞した坂本さん。ポップミュージックに実験音楽、映画やドラマやアニメへの楽曲提供と、ジャンルを問わずさまざまな曲を手がけてきたが、ゲームの音楽にも積極的に参加している。
たとえばセガが1998年に発売した第6世代機・ドリームキャストでは、起動画面に坂本さんの作曲したサウンドロゴを採用していた。ドリキャスのマークがあらわれるのと同時に、洞窟内に水滴が落ちるようなサウンドが流れるという起動画面だったが、癒したっぷりで未来感があふれるサウンドロゴだった。
坂本さんは、他にも1989年のPCエンジン CD-ROM2用RPG『天外魔境 ZIRIA』や、2004年のPS2用アクションゲーム『SEVEN SAMURAI 20XX』などで作曲を担当している。どれも名曲だが、2006年に発売されたPS2用アクションアドベンチャー『聖剣伝説4』のメインテーマが印象に残っているという人は多いのではないだろうか。
坂本さんの、クラシックと民族音楽が融合したような、心に直接訴えかけるような曲調が、ゲームの牧歌的かつ壮大なテーマとマッチ。『聖剣伝説4』をある程度プレイした後、メインテーマを聞きながら目を瞑ると、ゲーム中の緑豊かな光景がありありと浮かんでくるようだった。
■どこか懐かしい鈴木慶一さんの『MOTHER』
3月13日に放送されたNHKのゲーム教養番組『ゲームゲノム』では、1994年のスーパーファミコン用RPG『MOTHER2 ギーグの逆襲』が特集された。同シリーズの音楽は『ポケットモンスター』などでおなじみの田中宏和さんらとともに、ムーンライダーズの鈴木慶一さんが手がけている。
物語の中で「音楽」が非常に重要なキーワードになっている同シリーズにおいて、柔らかでムーディーでユニークで、どこか懐かしさを感じる曲調の鈴木慶一さんの音楽がピタリとハマる。
『MOTHER』のフィールド曲は『大乱闘スマッシュブラザーズ』でも使われているため、同シリーズをプレイしたことがある人以外にも、聞いたことのある人は多いだろう。