■愛と自由の狭間で今日も彼女は揺れ続ける…『お茶の間』渡辺満里奈
1990年から『ミスターマガジン』(講談社)で連載された望月峯太郎さんの『お茶の間』は、社会人の主人公・花井薫が愛する女性・塚原苑子との理想の生活のため、世間の荒波に立ち向かっていく漫画だ。
望月さんが過去に連載した『バタアシ金魚』の続編にもあたる作品で、成長したキャラクターたちが社会人として奮闘しつつも、マイペースに、ときにドタバタと“愛”のために駆けずり回っていく。
本作は1993年から全11話の実写ドラマが放映されており、成田昭次さん、豊川悦司さんといった豪華な俳優陣が名を連ね、話題を呼んだ。
そんななか、メインキャラクターの一人である塚原苑子役を演じたのが、“元おニャン子メンバー”の一人である渡辺満里奈さんだ。会員番号・36番を獲得した渡辺さんは、後期おニャン子クラブの主力メンバーの一人。
おニャン子クラブ解散以降は、マルチタレント・女優としてさまざまなメディアに出演。自身の多種多様な体験談を元にした書籍を出版したり、子ども服中心のブランド「gris-gris」を立ち上げるなど、その活躍は多方面に及ぶ。
渡辺さん演じる苑子は就職が決まったことで一人暮らしを始めるのだが、一方で彼女を愛している薫が転がり込んできてしまったことで自由を満喫できず、彼と別れるために奮闘する……という、なんとも奇妙な境遇のキャラクターだ。
薫に振り回されながらもどこかマイペースに進んでいくその姿は、まさに原作通りの“塚原苑子像”であり、原作ファンのみならず初見となるドラマ視聴者たちを瞬く間に作品にのめり込ませていた。
渡辺さんの持つ女優としての高い実力が、いかんなく発揮された一作といえるだろう。
数々のヒットソングやテレビ出演で日本中のファンを虜にした「おニャン子クラブ」だが、のちに女優として多くのメンバーがドラマや映画作品で活躍していたという事実に驚かされてしまう。「おニャン子クラブ」を脱退してなお、彼女たちは数々の作品を通し視聴者たちの心を魅了し続けている。