■手元に広がる“ワクワク感”は唯一無二! 『貝獣物語』
1988年に発売された『貝獣物語』はほんわかとした世界観でありながら、時代を先取りしたさまざまなシステムによってファンを虜にしたRPG作品だ。
おとぎ話のような世界観、魅力的なキャラクターデザイン、美しいグラフィックと非常に高水準の作品なのだが、本作の特徴といえばなんといってもその“自由度の高さ”だろう。
本作では4人の主人公が別々の地点からスタートするのだが、作中では好きなタイミングで操作キャラクターを切り替えることが可能。そしてほかのキャラクターと合流することでパーティを組むことができるのだが、この合流・離脱のタイミングは自由に決めることができる。
そのため、物語の進行状況やパーティメンバーはプレイヤーごとに千差万別。まさに、“自分だけの冒険”を楽しむことができるようになっているのだ。
そんな本作に付属されているのは、冒険の重要アイテムとなる“地図”や“涙の密書”、4人のキャラクターを象ったフィギュア。これを使って4人のキャラクターがどこにいるかを手元の地図上で確認しながら、プレイヤーは独自のルートで物語を進行していくこととなる。
次はどこに向かうのか、宝がどこに眠っているのか、もう少しで誰かと出会えそうだがどうするか……などなど、ゲームだけでなく手元の地図を広げ、想像力を働かせながら遊ぶ“冒険”の奥深さ、楽しさは唯一無二と言えるだろう。
その性質上、プレイするたびに違ったゲーム体験ができるのも大きなウリとなっており、一度クリアしても新たな“冒険”を追体験したく、何度も繰り返し遊んだというプレイヤーも多いようだ。
ゲームのシステムや出来はもちろんのこと、付属される“おまけ”までも使って“冒険”に没頭することができる、珠玉の一作である。
当時のファミコンソフトに“おまけ”が付いてくるということはなかなか珍しいが、とくにナムコ作品はいろいろなグッズを使ってアナログとデジタルを融合させた新たなスタイルの確立に意欲的だった。いずれもその内容に限らず、今となっては手に入れること自体が難しいレアアイテムばかりである。