ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)といえば、今もなお数々の名作ゲームタイトルを世に送り出しているゲームメーカーの一つだが、ファミコン時代のナムコ作品はソフトとは別にちょっとした“おまけ”グッズが付いてくることも多かった。画面上だけではなく、卓上でも楽しむことができたお得なナムコ作品たちについて見ていこう。
■オリジナリティあふれる新ジャンルに賛否両論? 『源平討魔伝』
1986年にアーケードで稼働を開始した『源平討魔伝』は、ナムコ作品のなかでもとくに高い評価を得ているアクションゲームの一つだ。
“源平合戦”を題材に、浄瑠璃『出世景清』をモチーフとした一作で、色使いやフォントまで徹底した純和風の世界観や、当時の作品としては非常にハイクオリティな音楽、映像、ゲーム性によって多くのファンを獲得した。
その凄まじい人気から1988年にはファミコン版として移植されることとなったのだが、その際、まさかの“ジャンル変更”に当時のプレイヤーたちは驚愕することとなる。なぜなら、ファミコン版は従来のアクションではなく、“コンピュータボードゲーム”の名を冠したオリジナリティ溢れる一作として生まれ変わったのだ。
ボードゲームという響きから“人生ゲーム”のようなテイストを連想するかもしれないが、実際の内容は“陣取り合戦”とRPGの戦闘システムが融合した、シミュレーション色の強いものとなっている。
加えて本作の最大の特徴は、なんといってもゲームソフトに同梱されてくる“付属品”の存在だろう。本作はソフトに加え、“コマ”、“地図”、“カード”といった専用のアイテムが多数同梱されており、これをゲーム内容とシンクロさせることで、卓上でも遊べるようになっているのだ。
具体的にはゲーム上で国を踏破するたび、地図やコマを活用して“支配国”を分かりやすく管理することができる。とはいえ、あくまでゲームとシステム的に連動しているというわけでもなく、あくまで“コンピュータボードゲーム”を実現するための小道具として用意された品々なのである。
なかなか面白い試みではあったが、一方でアーケード版同様の“アクション”としての移植を望んでいたファンも多く、賛否が分かれる結果となってしまったようだ。
■紛失厳禁なギミック解除の“鍵”…『時空勇伝デビアス』
1987年に発売された『時空勇伝デビアス』は、ファンタジーの世界観と横スクロールアクションを融合させたRPG作品である。
プレイヤーは中世ファンタジーの世界に突如召喚された主人公を操作し、剣や爆弾といった武器を活用して立ちはだかるモンスターを倒しながらストーリーを攻略していく。
モンスターが落としていく“GOLD”で装備を整えつつ、各地に秘められたいくつもの謎を解き明かし、最大の敵である“魔王”を目指していくこととなる。
主人公は守護神・アーロンによって冒険の舞台に召喚されるのだが、本作にはこのアーロンの名を冠したある特殊な“おまけグッズ”が付属されており、しかもこれがゲーム攻略の大きな“鍵”を握っている。
その付属品とは、「アーロンのお守り」と名付けられた一品。大小二枚の“円盤”が重なったもので、記号が書かれた円盤の上に、図柄と“窓”が用意された円盤を重ねることで、ゲーム中に登場する謎解きの答えを得ることができるようになっているのだ。
ゲーム上に表示された図柄通りに円盤を回し、窓から見えた数字や記号を使ってギミックを解いていく、その仕様にワクワクとしたプレイヤーも多いだろう。
この「アーロンのお守り」は、なくてもゲームプレイはできる。しかし、作中のギミックがノーヒントになってしまうことから、かなり攻略の難易度が高くなってしまう。
管理できずに失くしてしまった子どもや、「アーロンのお守り」が付属されていない中古品で本作を手に入れたプレイヤーにとっては、当然普段よりも随分と歯応えのあるプレイを求められることとなる。
アナログとデジタルを融合させた画期的な“謎解き”だが、キーアイテムの紛失には厳重注意が必要な一作だ。