■細部まで作り込まれた「クラフトゲーム」
そして『パルワールド』の特徴は、その王道クラフトゲームから一歩進化を進めたところにある。『パルワールド』では、プレイ中に捕まえた「パル」たちを拠点に配置しておくと伐採や採掘、道具を使った生産を引き受けてくれる。「パル」たちが一生懸命に素材を運んでいたり、口からブレスを吐いて素材を焼いていたりするのを見ると、なんともかわいらしい。「パル」といっしょにクラフトできるのが、本作の魅力になっているのである。
それぞれの「パル」にはスキルが用意されており、「職人気質」や「ワーカホリック」といったスキルを持つ「パル」もいれば、「社畜」なんていうクラフトに特化した「パル」もいたりする。「社畜パル」を酷使して働かせすぎると体調を崩して「うつ病」になったり、「過食症」になったりする。拠点で働くたくさんの「パル」のメンタルコントロールをしながら、仕事をさせるという、ちょっとした小規模会社の経営者気分が味わえるのだ。
もちろん「パル」を連れて冒険し、野生の「パル」やフィールドのあちこちにいるボス「パル」と対戦させたり、密漁団やパル愛護団体、自警団といった組織と対決したり、それぞれの組織の塔にいるボスと対決したりすることもできる。つまり、やれることはたくさん用意されている。
銃火器を使って「パル」を撃ったり、プレイヤーに向かって「パル」が攻撃をしてきたり、「サバイバル要素」も面白い。ジャンプやダッシュで野生の「パル」からの攻撃を避け、仲間の「パル」に攻撃をさせる。そして銃火器で狙い撃つ。3Dアクションゲームとして「パル」たちと戦うのが楽しいのだ。
しかも細やかな演出も冴えている。パルを捕まえるときに「パルスフィア」にパルを入れたときの「デジタルメーターによるカウントアップ(100%に到達するとパル捕獲成功)」は気持ちいいし、人間(密漁団やパル愛護団体、パル商人など)を「パルスフィア」で捕獲したときは「人間をパルスフィアで捕獲することは非人道的行為とされている」とメッセージが出るところも気が利いている。
「パル」の背中に専用のサドルをつけてライドして、空を飛んだり、走り回ったりしていると、フィールドのあちこちに出てくる密猟者やパル愛護団体のキャンプがあり、そこには野生の「パル」が檻の中に捕まっていたりすることがある。そういうパルを解放して仲間にすることも可能だ。あちこちに廃墟や禁漁区があり、ポスト・アポカリプス的な世界観が見えてくるところも考察が捗る。
いわゆる『ポケモン』、さらには『ARK』フォロワーではあるかもしれないけれど、独自の世界観と味付けで、新しい魅力を付け加えている。とても意欲的な一作になっていると言えるだろう。