■『YAWARA!』バルセロナオリンピック前
最後に紹介するのは、浦沢直樹氏の人気柔道漫画『YAWARA!』だ。本作は、従来のスポ根漫画とは一線を画しており、柔道にあまり積極的でないヒロイン・猪熊柔が主役だ。
非凡な柔道の才能と「普通の女の子になりたい」という自身の想いとの狭間で揺れ動く葛藤を描いている点が面白く、とにもかくにも柔はむちゃくちゃかわいかった。
原作漫画は1986年から1993年にかけて『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載、コミックスは全29巻で完結している。
一方、テレビアニメは『YAWARA! a fashionable judo girl!』というタイトルで、1989年から1992年まで全124話が放送された。
日本テレビ系列の毎週月曜夜7時半という非常に良い時間帯での放送で、平均視聴率は14.7%。最高視聴率19.7%と数字的にもかなり良かった。しかし残念ながら、こちらも途中で終了している。
具体的にはコミックス25巻、バルセロナオリンピック選考を兼ねた全日本女子柔道選手権で柔の因縁のライバル・本阿弥さやか戦まで。物語の最終局面である、バルセロナオリンピック本番前で終わってしまっていた。
終了理由については諸説あるようだが、人気低迷というよりはアニメ放送時に現実のバルセロナオリンピックが終了してしまったことが理由のひとつだと言われているようだ。
ただ、そこから4年後の1996年開催のアトランタオリンピックの際には、金曜ロードショー『YAWARA! Specialずっと君のことが…。』というスペシャルアニメで復活している。
この作品で一応の原作補完はされてはいるが、カットやアニメオリジナルの展開も多いため、完全な続きと結末を知るにはやはり原作の漫画を読むしかない。
今回は、結末は漫画でしか知ることができないアニメ化したスポーツ漫画を3つ紹介してきた。アニメは残念ながら途中で終わったものの、いずれの作品もその後の原作の漫画では熱い展開が続いていた。
それぞれやむを得ない事情があっての終了だった思うが、続きが非常に面白かっただけになかなか惜しいと感じてしまった。もしアニメでしかその作品を見ていないという人がいたら、ぜひこの機会に漫画で続きを楽しんでいただきたい。