昨年大ヒットした映画『THE FIRST SLAM DUNK』(井上雄彦氏)は、ファン待望の作品だったと言える。なぜなら、1993年から1996年にかけて放送されたテレビアニメでは全国大会の様子が描かれることなく、途中で終わってしまっていたためだ。『SLAM DUNK』のようにどんなに人気のある作品であっても、さまざまな事情により、原作の途中の物語で終了してしまうアニメも少なくない。
そこで今回は、結末は漫画でしか知ることができないアニメ化したスポーツ漫画を3つ紹介していく。
■『アイシールド21』クリスマスボウル&世界選手権前
まずは、約14年ぶりの誌面復活が話題となっている『アイシールド21』。実は本作、アニメ版は物語の途中で打ち切りとなっていて、結末は原作の漫画でしか知ることのできない作品の1つだ。
原作を『Dr.STONE』で知られる稲垣理一郎氏、作画を『ワンパンマン』で知られる村田雄介氏という最強タッグで描かれた本作は、日本では数少ないアメリカンフットボール漫画である。
2002年から2009年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、コミックスは全37巻で完結。さらに今年1月29日発売の『ジャンプ』で、特別読切が掲載されたほど根強い人気のある作品だ。
一方、テレビアニメは2005年から2008年まで全145話が放送されたが、残念ながら途中で終了。具体的にはコミックス27巻、関東大会準決勝・王城ホワイトナイツ戦までだった。
原作の漫画ではその後、関東大会決勝・白秋ダイナソーズ戦で作中トップクラスのパワーを持つ峨王力哉と戦い、クリスマスボウル・帝黒アレキサンダーズ戦では“本物のアイシールド21”大和猛が登場する。
さらに、日本選抜で挑むアメフトワールドカップユースなど熱い展開が続くだけに、アニメ版は道半ばという印象だ。個人的には泥門チームの当初からの目標だったクリスマスボウルまでは、せめて放送してほしかったところである。
■『H2』2年生になった比呂…無名の千川高校の快進撃前
あだち充氏の人気野球漫画『H2』も、アニメ版は途中打ち切りとなっている。
あだち氏は今でこそ“高校野球”のイメージが強い漫画家だが、本作は『タッチ』の連載終了以来6年ぶりという久々の野球漫画であった。そして、この『H2』ののちに『クロスゲーム』や『MIX』といった名作野球漫画が次々と生み出されている。
本作は1992年から1999年にかけて『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載され、コミックス34巻で完結した。一方、テレビアニメは1995年から1996年にかけて全39話が放送され、2話が未放送となっている。原作でいうとコミックス8巻、練習試合で栄京学園に敗れ、その後の遊園地デートのエピソードで終了となっていた。
しかしこれは本作のプロローグと言っていいほどの段階で、物語はここから熱くなっていく。2年生になりさらに力をつけた比呂と野田のバッテリーに新メンバーの加入、無名だった千川高校の快進撃がはじまっていくという、全編通しても最も痛快なストーリーが繰り広げられるのだ。
さらに、広田のいる栄京学園との甲子園出場を賭けたリベンジ戦、永遠のライバルである英雄率いる明和第一との甲子園対決、そして恋愛の四角関係の行方など目が離せない展開が続いていく。
個人的には、三枚目のお調子者・比呂という大エースの陰に隠れる存在だった木根がピッチャーとして甲子園のマウンドに立つ展開が非常に熱かった。この漫画後半の名シーンがアニメ化されていないことを、非常に残念に思う。