2月14日、「Rabbit&Bear Studios」代表である村山吉隆さんが6日に亡くなっていたことが、同社公式サイトで発表された。村山さんは、人気RPG『幻想水滸伝』(コナミ)を生み出したゲームクリエイターとして知られる。開発中だった新作RPG『百英雄伝』がまもなく発売という時期の訃報に、SNS上ではさまざまな人から氏の才能を惜しむ声が聞かれた。
コンピュータRPGというジャンルに大きな足跡を残し、数多くの熱狂的なファンが今も支持する『幻想水滸伝』シリーズ。現在、公式サイトにはシリーズ13タイトルが掲載されている。どんなゲームだったのか、その足跡を振り返ってみよう。
■プレイステーション初期にリリースされた王道RPG
『幻想水滸伝』は1995年12月15日、プレイステーションで発売されたRPGだ。当時は家庭用ゲーム機の三国時代とも言われ、プレイステーション、セガサターン、NINTENDO64という3つのゲームハードが熾烈なシェア争いを繰り広げていた。また、ゲームがライト層に拡大し、ゲーム人口が増え始めた時期でもあった。「ライトユーザーでも遊べる良質なRPGがハードを牽引する」ともいわれた時代で、大作RPGを自ハードで発売してもらうための“誘致合戦”もあった。
『幻想水滸伝』は、そんなプレステ初期のユーザーが待ちに待った貴重なRPGタイトルの1つ。基本システムは、それまでのRPGと同様の見下ろし型の画面を踏襲しており、主人公を操作しながら登場人物との会話を楽しんだり、登場する敵と戦ったりしながら主人公と仲間を成長させ、世界を旅していく、いたってオーソドックスなものだ。
それがなぜ、これほど多くのファンの心をつかむことができたのか。
『幻想水滸伝』の最も大きな特徴は、“108人の仲間を集める”という「本拠地システム」にあった。それまでのRPGでも「仲間を集める」と表現したタイトルがなかったわけではない。ただ、それは多くの場合、「ストーリーの展開に伴って自動的に仲間が増える」ことだったし、集めた仲間の役割も、せいぜい「戦闘に連れて歩く仲間を選べる」というものだった。
しかし『幻想水滸伝』の場合、仲間を増やし、「本拠地」の勢力を高めることがストーリーの重要な軸となっている。その人数は、ゲームタイトルの由来となった中国古典小説と同様、108人。ただし、プレイヤーが積極的に仲間を集めなければ、ゲームクリアまでに集まる仲間は30人程度で終わってしまう。