■『テイルズ オブ ファンタジア』のボイスシステム
今となっては標準機能となり、無いと逆に違和感を感じるほどに基本的な要素として浸透した「ボイス」システム。キャラクターの動作に合わせて、声優のボイスが再生されるというものだ。
スーパーファミコン用RPG『テイルズ オブ ファンタジア』が発売された1995年当時は、必殺技などのキャラクターの一部の声が発せられたり、合成音声によって作られた声が組み込まれたゲームは多く存在した。しかし、戦闘中はほぼフルボイスだったり、他にも多くの箇所にボイスが使われるほどボイスが使用されているのは、『テイルズ オブ ファンタジア』が初だろう。また、ボーカルつきのオープニングが採用されたのも、この『テイルズ オブ ファンタジア』が初であり、当時のプレイヤーを驚愕させた。
プレイステーションから始まる大容量時代になってからは、ボイス多用やオープニングアニメの採用が目立ってきたが、スーパーファミコン時代で、これらの要素があるのは画期的だろう。
むしろ、その後の『テイルズ オブ デスティニー』をはじめとして、『ワイルドアームズ』や『ルナ・シルバースターストーリー』といったRPGから積極的に採用されていったことを考えると、この『テイルズ オブ ファンタジア』がきっかけとなり、オープニングやボイスを多用するシステムが広まっていったと考えるのが自然だろう。
今や当たり前となった道具袋システムやボイスシステム。革新的で話題となった「モダン操作」システム。これらを先取りしていた3作品は、先見の明を通り越して、まるで未来のゲームの預言者である。そこには開発者たちの豊かな想像力と創造力があるのは言うまでもない。