■どの人が好み?異性とドキドキ恋愛体験ができる
『きせかえ物語』には、男子3名女子4名の大学生が登場し、異性とはイベントを発生させることで恋愛に発展する。出会うにはそれぞれ用意された条件をクリアする必要があるが、親しくなると関連した洋服をひらめいたり自分のスキルが上がったりしていく。
さらに、目星を付けた相手好みの服を着て何度も会い、最終的に告白をさせることを目指すという『ときメモ』的な要素を楽しめるのだ。
当時は特に気にならなかったが、今思えば彼らはなかなかに個性があった。たとえば、バンドマンの大学生・桜木くんは、超ロン毛のお洒落ボーイ。活動時間は夜がメインで、ゲーセンで出会う友だちの明美さんが紹介してくれないとどこにいっても出会えない。チャラそうだがデートは水族館や動物園などの定番コースが多く、色々な場所に連れて行ってくれるので、一緒に出かけると服をひらめきやすかった。
文香さんと仲良くなることで出会うインテリ系男子の辻井くんは、図書館や公園といった場所に出没する真面目で穏やかなキャラで、デートのお誘いはほぼ自宅。リアルならば、そこまで親しくない間柄で「星を見ない?」と自宅に誘う男性には警戒してしまうかもしれない。
男性陣最後の一人はアクティブなスポーツマン系大学生の一条さん。浅黒い肌にラフな服装といういかにも体育会系な彼は、朝は公園でジョギング、夕方はカラオケというルーティンを爽やかにこなしていた。
デートもアウトドア系が多く、彼と一緒に過ごすとスポーツウェアなどをひらめく。自身は爽やかながら、好みの路線は大人の色気をまとったお姉さん系のファッション。料理スキルをあげると手料理を振る舞うことになるため、家庭的な女性も好みなのかもしれない。
また、女性キャラもみな可愛くお洒落であった。親しくなると、お茶会やクルージングに誘ってくれたり異性を紹介してくれたりとメリットも多い。「ちょっと大人で華やかなキラキラ女子の友情」を疑似体験できるのも、子どもにとっては新鮮なポイントだろう。
元祖『きせかえ物語』はやりこみ要素が多く、女子がのめり込める良作ゲームだった。『きせかえシリーズ』としては、2001年に女子高生を主人公にした『おしゃれ日記』とハムスターを主人公にした『きせかえハムスター』が発売され、2003年には元祖をリメイクした『新きせかえ物語』がリリースされている。
ニンテンドーDSでは『わがままファッション ガールズモード』が、そしてNintendoSwitchでは2023年11月に『ファッションドリーマー』が発売されており、その時代にあわせてファッションゲームが作られてきた。ゲームボーイで25年前に生まれた『きせかえ物語』がその後の道を作ったと言って間違いはないだろう。