■伝説のギャグ漫画家が描く秀逸なギャグ『お父さんは心配症』
『お父さんは心配症』は1983年から少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)で掲載された、岡田あーみんさんのギャグ漫画である。
シングルファーザーとして1人娘の典子を育ててきた主人公・佐々木光太郎は、娘を心配するあまり過激な行動を取ってばかり。典子のボーイフレンドである北野をピストルで攻撃したり斧で刺したりと、暴走が止まらない。
本作では、突然体を締め付ける大蛇に攻撃するための包丁、“うげっ”と言って吐き出す血……など、迫力ある描写が満載。決してホラー作品ではないが、今ではコンプライアンスに引っかかりそうなシュールなギャグも次々に飛び出す。令和の若者にも、ぜひ“あーみんワールド”を堪能してほしい。
■緻密な動物の描写で社会現象も! 『動物のお医者さん』
『動物のお医者さん』は、1987年から1993年に『花とゆめ』(白泉社)で連載された佐々木倫子さんの作品だ。H大学獣医学部に通う西根公輝こと“ハムテル”とその仲間たちが、動物たちとのかかわりを通してコミカルな日常を展開していく。
高い描写力でリアリティ溢れる動物たちをメインとした作品であり、主人公たちが巻き起こす独特なシュールな笑いにもじわじわくる。
本作が連載されるやいなや、モデルとなった北海道大学獣医学部の倍率が上がり、シベリアン・ハスキーを飼う人が増えるなど社会現象も起こした作品としても有名だ。
■現在も続く不朽の名作『ガラスの仮面』
『ガラスの仮面』は、1975年から97年に『花とゆめ』(白泉社)、2008から12年に『別冊花とゆめ』に掲載され、現在も連載が続く美内すずえさんの作品である。
主人公の北島マヤは演劇を愛する天才少女。永遠のライバル・姫川亜弓と競いながら、幻の名作“紅天女”に挑むストーリーだ。
本作を知らない人でも、“おそろしい子!”とおののく月影先生や、マヤの演技を見て白目蒼白になる亜弓など、インパクトのあるシーンを知る人は多いだろう。連載中の本作は、紅天女の行方はもちろん、マヤと速水真澄との恋愛からも目が離せない。『ガラスの仮面』は一度読んでしまうと抜け出せない、それこそ“おそろしい漫画!”なのである。
スマホで気軽に娯楽が楽しめる現在、昔の漫画を手に取る人は減っているかもしれない。しかし昭和の時代に多くの人の心を掴んで離さなかった名作は、世代を超えても読者の心に響くはずだ。
令和の時代を生きる人にも、ぜひ今回紹介した作品を読んでいただきたい。これらの作品に触れることで、もしかしたら今後の生き方や考え方にちょっとした変化が訪れるかもしれない。