残酷描写も…子どもながらに怖かった堂本光一主演ドラマ『銀狼怪奇ファイル』の奇抜さの画像
堂本光一 (C)ふたまん+

『銀狼怪奇ファイル~二つの頭脳を持つ少年~』は、1996年1月クールから日本テレビ系の土曜日21時からというゴールデンタイムで放送が始まった推理ドラマだ。

 原作は金成陽三郎さん、越智辺昌義さんによる漫画『超頭脳シルバーウルフ』だが、ドラマで描かれたエピソードのほとんどはドラマオリジナルとなっていた。しかし、ホラーありサスペンスありミステリーありという“攻めた”内容は当時の視聴者をクギヅケにした。今回は、今から28年前に放送されたドラマ『銀狼怪奇ファイル』を振り返ってみようと思う。

■堂本光一さんが一人二役に挑戦!豪華な俳優陣

 日本テレビ土曜21時のドラマ枠では、この作品の前々クールまでKinKi Kids・堂本剛さん主演の『金田一少年の事件簿』、前クールは東山紀之さんの『ザ・シェフ』を放送。そしてその次に、KinKi Kids・堂本光一さんの主演ドラマとして、この『銀狼怪奇ファイル』が放送された。大人気作となった堂本剛さんの『金田一~』と同じ枠で、相方の堂本光一さんが主演を務めることが大きな話題を呼び、平均視聴率も20%超えという高い数字を叩き出している。

 同作が初の連続ドラマ単独主演となった堂本光一さんは、平凡な高校生・不破耕助と、ピンチに陥ったときに現れる「IQ220の天才・銀狼」という難しい二役を演じきった。決めセリフは「俺に不可能はない!」。

 事件のトリックに対して「フェロモンマジック」や「ブラックマジック」と名前を付けてみたり、キザな言い回しをしてみたりと、ツンデレかつカッコつけなキャラも魅力だった銀狼。高いIQを駆使して推理を進めるが、いつも一回目の推理はミスってしまい、ショックを受けるところも可愛らしかった。

 同作におけるヒロイン役であり、姉のようにあれこれと耕助の世話を焼く同級生・小早川冴子を演じていたのは宝生舞さんである。残念ながら現在は芸能界を引退してしまったが、筆者は美しく華のあるパッツン前髪の彼女に毎回見惚れていた。

 三宅健さん、井ノ原快彦さんといったホットなアイドル陣が新聞部員を演じていたため、女性視聴者も多かっただろう。宇梶剛士さんや木村佳乃さんらに加え、石丸謙二郎さんや石塚英彦さんといったゲスト俳優が加わりドラマを大いに盛り上げていた。

 もう一つ忘れられないのが、近藤真彦さんが歌う主題歌『ミッドナイト・シャッフル』だ。ロック調でキャッチーなメロディが頭に残るこの曲は、ドラマの雰囲気ともマッチして大ヒット。オリコンランキング4位まで登り詰めた。

■恐怖映像で視聴者にトラウマを与えたオカルトホラー

 同作は「事件」と「解決」の2話完結型で、放送されたのは全5エピソード。内容はオカルトホラーに寄っていて、どれも濃いめである。とはいえ、高度な映像技術を見慣れた現在の視聴者からすると90年代のホラーはチープに見えてしまうかもしれない。しかし、映像の奇抜さは当時のドラマの中では群を抜いており、衝撃的なシーンも多かった。

 物語は基本的に天神学園で起こる殺人事件を銀狼が解決していくというものだが、特に「首なしライダー」の事件が印象に残っているという人は多いのではないだろうか。道路に張られたピアノ線にバイク運転手がひっかかり、首が切断されたというこの事件。ピアノ線は不良たちがいたずらで張ったもので、その後、不良たちも同じ手口で殺されてしまうのだが、ピアノ線から滴り落ちる血や木からぶら下がる生首など、トラウマものの生々しいビジュアルで描かれた。

 また、「破壊の死神」の回は、ポルターガイスト現象が起こると絵から死神が出てきて殺人を犯すという、なかなかにホラーなエピソードだ。死神が絵から抜け出してくるシーンや被害者を追い詰めるシーンは、ドキドキが止まらなかった。 

「人体発火」の回で野球部員が突然燃え上がるシーンも衝撃的だったが、大量のネズミが人を殺す「呪われた天神学園」も、あれだけのネズミを学校に呼び込んで襲わせるなんて……という怖さと気味の悪さが混在するトラウマエピソードである。物語は、このエピソードからラストのファイル5「最終決戦VS金狼」へと続き、切ないラストを迎えていく。

  1. 1
  2. 2
  3. 3