■味吉陽一の息子・陽太が主人公に置いた続編『ミスター味っ子II』

 グルメ漫画界の巨匠・寺沢大介氏の『ミスター味っ子』は、『週刊少年マガジン』にて1986年から連載されていた同氏の代表作である。主人公は父の残した日之出食堂を母とともに切り盛りしている中学生・味吉陽一。その類まれなる料理の才能を味皇に見出されたことで、日本のみならず世界のプロシェフたちと戦い料理の腕を磨きあげていく。

 そんな味吉陽一が大人になった後の物語『ミスター味っ子II』が、2003年から『イブニング』で連載された。作中では一話目から陽一が結婚していて大きな子どもがいることが明かされており、読者に驚きをもたらした。

 同作の主人公は、彼の息子・陽太。妻は八重で連載スタート時に32歳だったことから、二人はかなり若いうちに結婚して子どもを授かったようだ。

 元祖ミスター味っ子の陽一は、家族を日本に置いて海外放浪に長い間出ていたという設定である。 日本に帰ってきてからは陽太の料理勉強を支えるが、自分のスキルを叩き込むようなことはせず、陽太の自主性を重んじる見守り系父になっていた。

 陽太は、初代作の陽一同様に気が強く、料理に対する強い情熱を持っている。外見も親子ゆえに似ていて、陽一の昔を見ているようだ。一方、大人になった陽一は、中学生の頃の雰囲気は残しつつ落ち着きと貫禄を醸し出していた。第二部では40歳になるが、料理への愛情を衰えることはない。

 リアルの世界とリンクするように、漫画の中で成長していくキャラたち。それぞれが歳を重ねるごとに結婚や就職といった現実的な経験をしているところを見ると、胸が熱くなるものだ。

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