■14歳で親の決めた人と結婚を促される『ときめきトゥナイト』江藤蘭世
池野恋氏の『ときめきトゥナイト』は、1982年より『りぼん』(集英社)で連載された人気少女漫画だ。“吸血鬼”や“狼男”、“魔界”といったキーワードが登場するファンタジックなストーリー性にはもちろん、主人公の江藤蘭世とクールな真壁俊との恋愛にはドキドキさせられた。
そんな本作がスタートした当初、蘭世はまだ14歳だった。ちょうど俊に初恋をした時期とあって、年相応の可愛らしい少女として描かれていた。
しかし魔界人である両親は、蘭世のお相手は同じく魔界人と決めており、とくに母親からの監視は厳しかった。修学旅行にこっそり父親がついてきたり、蘭世に一目惚れした魔界の王子・アロンが家に居候したりと、なかなか落ち着いた中学校生活を送ることができない。しかもアロンにはこっそり惚れ薬を飲まされ自分自身を失ってしまうなど、中2の少女にとってはかなりハードな展開だ。
それでもくじけず前を向いて俊を追い続ける蘭世。その後、二人が少しずつ惹かれ合い両想いになる展開に、まさに胸を“ときめかせながら”読んだ読者は多いだろう。
ちなみに筆者が思い出す14歳の自分は、中学でクラスメイトと好きなアーティストの話で盛り上がり、塾の帰りにチュッパチャプスを買うのが楽しみだったような……。今回紹介した14歳のヒロインとはほど遠い、ある意味“子どもらしい”生活を送っていた記憶がある。
リアルの14歳少女が紹介したような過酷な生活を送るのは難しいだろうが、漫画の世界ではなんでもできてしまうのが魅力だ。また、けなげな少女がハチャメチャに活躍する姿を見るのは、読者にとってとても楽しい時間と言えるだろう。