『花のあすか組!』九楽あすかや『ガラスの仮面』姫川亜弓も…昔の人気少女漫画に登場する「14歳」であまりにも過酷な運命を背負ったキャラたちの画像
祥伝社コミック文庫『花のあすか組!』第1巻(祥伝社)

 最近の少女漫画は、赤ちゃんから老人まで実に幅広い年齢のキャストたちが活躍している。しかし昭和から平成初期にかけての昔の少女漫画は、10代を中心とした若いヒロインが中心であった。

 しかも今読み返すと、実はヒロインが14歳の中学2年生という設定も多い。今回は「こんな大人びているのに中2なの!?」「こんな過酷な生活を送る14歳って……」と、思わず驚いてしまうような14歳のヒロインたちを紹介したい。

■歌舞伎町を舞台に過酷な生活を送る少女『花のあすか組!』九楽あすか

『花のあすか組!』は、高口里純氏によって1985年から「月刊Asuka」(角川書店)より連載された少女漫画である。

 主人公・九楽あすかは仲間とつるむのを嫌い、ひとりさまざまな抗争に向き合いながら力強く生きる少女だ。80年代に多かった学校同士の抗争や、不良グループとの戦いが描かれており、テレビドラマ化や映画化もされたヒット作だ。

 あすかは14歳の中学2年生の少女でありながら、夜の新宿歌舞伎町を舞台に過酷な抗争に巻き込まれていく。全中裏の裏番組織である「十人衆」に目を付けられ、カミソリやナイフ、ガソリンの入ったヨーヨーなどあらゆる道具で日々攻撃される。

 そんな生活を送るためか、あすかのセリフは非常に大人びている。同級生に対し「あんた 今まで普通の子供やってて不自由なこと一つもなかっただろう」「たまにはさ ガキも飢えなきゃ」など、とても14歳の少女が発したと思えないようなセリフを口にする。

 生きるか死ぬかのバトルを繰り返す生活のためか、あすかの唯一の友人・堂本美子も「世の中14の歳にゃ荷が重いよ」なんて口にする始末だ。

 同年代の子どもを持つ筆者としては、14歳でこんな過酷な状況を生き抜くあすかたちが心配でならない……。しかしあすかが口にするセリフはグッと心に響く言葉が多く、その生きざまに惹かれる読者も多いのは確かだろう。

■まだ成長期なのに!? 演技のために激やせ『ガラスの仮面』姫川亜弓

 美内すずえ氏による演劇を舞台にした名作『ガラスの仮面』は、1975年より『花とゆめ』(白泉社)から連載がスタートした歴史ある少女漫画だ。

 主人公の北島マヤが登場した当初は13歳。その頃は演劇を夢見るいたいけな少女であり、おっちょこちょいな場面も多い年相応の中学生だった。

 しかし14歳になり、その年齢とは思えない迫力を見せたのが、マヤの永遠のライバル・姫川亜弓である。コミック4巻では亜弓が所属する劇団オンディーヌが「灰の城」を演じるのだが、そこに登場した主役の亜弓は、役作りのためゲッソリ痩せている。

 没落華族の姫役を演じ「さがれと申しておる」というセリフを言う亜弓は迫力満点で、見る人をゾーッっとさせるほど。審査員には「立っているだけで圧倒されるほどの威厳が全身から漂ってくる…!」と言わしめ、14歳とは思えない存在感を放つのであった。

 まだ中2できっと成長期なのに、役作りのためとはいえそんなに痩せてしまって大丈夫なのかと、こちらも心配になる。

 ただ、父は有名な映画監督、母は大女優という生まれながらにしてお嬢様である亜弓が、その環境に甘んじることなく演劇を必死に習得していく姿は見る人の心を揺さぶる。常に何かを学ぼうとする姿勢には、大人も見習うものがあるだろう。

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