■サマルトリア王子が報われた…!激烈なエンカもなくなり「クリアできるドラクエ2」に!
『ドラクエ1・2』のパッケージに実は『ドラクエ1』の面影はありません。ソフトに貼ってあるタイトルのシールには主人公とローラ姫がいますが、パッケージはシドーの前に立つ3人の主人公の姿だけ。
このことからも分かる通り、本作のメインは『ドラクエ2』と言えます。
ファミコン版の『ドラクエ2』といえば、その激烈な難易度で当時のプレイヤーを阿鼻叫喚させました。かの有名な「ロンダルキアの洞窟」や「ブリザードのザラキ」といった終盤の高すぎる壁たちや、てつのやりで終盤まで戦うハメになるうえに呪文が全然通らず打たれ弱いサマルトリア王子、そして何より3,4歩歩いただけで現れる敵たち、などシンプルに歯が立たずにいつでも全滅してしまう危機感を常に孕んでいるのが特徴でした。
そんな「遊びやすい王道RPG」の代名詞ともいえるドラクエのなかでは異常なほどのバランスだった『ドラクエ2』は、サマルトリア王子が強化されたことでかなりクリアまでの安定感が上がりました。
厳密にいうとステータスに変わりはないため、サマルトリア王子が強化されたわけではないのですが、さまざまな仕様の変更がすべて彼の追い風になっているのです。
たとえば、30~40程度のダメージだった彼のメイン攻撃呪文ベギラマが50ほどのダメージを与えられるほどにパワーアップされていたり、ムーンブルク王女がザオリクを習得したことで唯一の蘇生呪文持ちだったサマルトリア王子の継戦能力が向上していたり、そして何より「ロトのつるぎ」や「ひかりのつるぎ」を装備できるようになっていたり、彼が装備できる杖装備の攻撃力が軒並み向上していたりなどなど、枚挙に暇がないほどサマルトリア王子に優しいアップデートがなされているのです。
それでも大器晩成型のステータスは変更されていないし、防具の貧弱さは変わらないので、結局すぐ死んでしまうキャラクターであることに変わりはないのですが、ファミコン版に比べればずいぶん頼りになる仲間になっているので、パーティのバランサーとして活躍する機会も多いでしょう。
また、リメイク版の新要素として「ハーゴンの呪い」を受けてサマルトリア王子が離脱してしまうイベントが追加されています。どこまで愛されているんだサマルトリア。
「せかいじゅのは」を与えることで復帰できますが、実はそのまま離脱状態でクリアをすることもできなくはありません。
回復役であり、火力役でもある彼無しで冒険を進めるのはかなりしんどいので絶対に助けたほうがよいのですが、モノ好きな方は2人でシドーを倒してみましょう。普通とは違う展開が見れるらしいですよ。(きついので実はやったことがありませんが、2人旅でもFC版ほどきつくはないそうです。どんだけきついんだファミコン版……)
こんなにリメイクで改善された点が多いにも関わらず、ストーリーはすべて楽しめる上にセーブデータも3つずつ保存できるというあまりにもお得なソフト。初めてのリメイク版とは思えないほどの高い完成度を誇った本作の成功があったからこそ、『3』以降のリメイクがさらに進化を遂げていったのでしょう。(追加要素による拡張などなど)
スーファミだけでなく、スマホやSwitchなどにも移植されているリメイク版の『ドラクエ1・2』。古い作品ではありますが、日本のRPGってここから国民的になっていったんだなという歴史を感じられる作品になっているので、「歴史の教科書」としてプレイしてみるのはいかがでしょうか。
いつもなら勉強しなさい!と怒るお母さんも、きっとこのときばかりは「勉強して偉いわね」と褒めてくれるかもしれませんよ。約束はできませんがね。