■SFテイストなシナリオも読み応え大…『TM NETWORK LIVE IN POWER BOWL』
前述の作品のように、憧れのアーティストやアイドルと同じ物語を歩む……という意味では、アドベンチャーは非常に相性の良いジャンルといえるかもしれない。
1989年にCBS・ソニー(現:ソニー・ミュージックエンタテインメント
)から発売された『TM NETWORK LIVE IN POWER BOWL』も、どこかSFチックなシナリオとともにアーティストと触れ合うことができる一作だ。
本作に登場するアーティストといえば、タイトルにもなっている“TM NETWORK(以下TMN)”。
本作は1999年に崩壊の危機に巻き込まれた地球を救うため、10年前へとタイムスリップした主人公の少年が、“TMN”とともに運命を変えるため奔走するSF要素の強い「アドベンチャーゲーム」となっている。
選択肢を選びストーリーを進行していくことはもちろんだが、本作独自のシステムとして主人公愛用の超高性能コンピューター「MUE」を操作し、さまざまな情報収集をすることが可能だ。
ゲーム自体のサウンドもかなりハイクオリティなのだが、「COME ON EVERYBODY」や「Self Control」といった“TMN”の名曲たちが登場する点も見逃せない。
ライブシーンやタイトル画面で見ることができる顔グラフィックも、ファミコンでありながらかなりクオリティが高く、TMNファンとしても納得の出来栄えだろう。
もちろん、アドベンチャーゲームの骨子ともいえるストーリーもかなり緻密に作られており、しっかりした伏線や意表を突いた黒幕の存在など、内容だけでもじっくりと楽しむことができる。
ファンはもちろん、アドベンチャー好きも唸らせる、なんとも質の高い一作と言えるだろう。
今でこそ有名アーティストがゲームとコラボすることは珍しくはないのだが、ファミコンソフトの時代から数々の有名アーティストが起用されていたことに、あらためて驚いてしまう。ゲームで遊ぶのはもちろん、ファンアイテムとして集めてみるのも一興かもしれない。