「聖飢魔ll」に「光GENJI」も…有名アーティストたちが出演した懐かしのファミコンソフト3選の画像
ファミコンソフト『聖飢魔II 悪魔の逆襲!』

 数々のファミコンソフトが発売されていくなか、作品のテーマやCMに“アーティスト”を起用した作品も数多く登場している。人気アーティストとの夢のコラボレーションをはたした、一風変わったファミコンソフトたちについて見ていこう。

■閣下となって世界征服に乗り出せ!! 『聖飢魔II 悪魔の逆襲!』

 “聖飢魔II(せいきまつ)”といえば、強烈なキャラクター性がうりとなっている大人気ヘヴィメタルバンドだが、実は彼らがファミコンの世界でも“世界征服”をもくろんでいたことをご存じだろうか。

 1986年にCBS・ソニー(現:ソニー・ミュージックエンタテインメント)から発売された『聖飢魔II 悪魔の逆襲!』は、バンドのボーカルを務めるデーモン小暮閣下が、神・ゼウスに奪われた悪魔教典と仲間たちを取り戻す「アクションゲーム」だ。聖飢魔IIがそのままゲームに出演していることから、パッケージにも彼らの姿が堂々と刻印されている。

 プレイヤーはデーモン閣下を操作することで5つのステージを攻略し、仲間たちを助けるために奮闘していくこととなる。移動にジャンプ、武器による攻撃が可能とオーソドックスな「アクションゲーム」なのだが、加えてクリアに必要な特定のアイテムを揃えるためステージを調べる「探索ゲーム」としての要素も強い。

 集めるアイテムが信者や供物といった“黒ミサ”のための道具だったり、ライフ回復のアイテムが“生き血”だったりと、随所に聖飢魔IIの世界観が盛り込まれている。

 また、本作はいわゆる“ライフ制”を採用しているのだが、斬新なのはこのライフが“制限時間”にもなっているという点だ。敵の接触や被弾で減少することはもちろん、時間経過でもライフが減少していき、0になるとゲームオーバーになってしまう。

 タイムリミットがあることで効率的なプレイが求められるうえ、かなり独特な仕様のジャンプ性能も相まって、ゲームとしての難易度は割と高め。アクションゲームとしての“癖”の強さも、ある意味で“聖飢魔II”のキャラクター性を踏襲した結果……なのかもしれない。

 ちなみに、本作のCMにも聖飢魔IIのメンバーは起用されている。雄叫びとともにはじまるおどろおどろしいCMは当時インパクト大だった。

■消えた“ローラースケート”はどこに…? 『光GENJI ローラーパニック』

 ファミコンが発売された1980年代、すでに“アイドル”という存在は多数登場しており、なかでも“光GENJI”は老若男女問わない凄まじい人気を誇っていた。

 彼らが全盛期を迎えていた1989年には所属レーベルのポニーキャニオンから、いわば完全公認ともいえるソフト『光GENJI ローラーパニック』なる一作が登場している。

 光GENJIといえばローラースケートを連想するものだが、本作ではそのローラースケートが何者かに盗まれてしまい、彼らのうち1人と協力しながら犯人を探し当てる「アドベンチャーゲーム」を楽しむことができる。

 街のなかを探索し、さまざまな選択肢から正解を導き出していくのだが、本作はやはり光GENJIのファンである女性をターゲットとしている部分が顕著に見られる。

 いわゆる「乙女ゲー」にも近い作品で、プレイヤーの分身となる主人公のデフォルト性別が女性だったり、パッケージがCDケースと同一、付録に占いカードが付いていたりと、光GENJIにときめく女性にとっては堪らないアイテムとなっている。

 そういった背景ゆえか、ゲームとしてのボリュームはかなり少なめ。加えて、アドベンチャーとして登場する選択肢はいわゆるギャグテイストなものもかなり多く、必死で真犯人を追い求めるというよりも、光GENJIらと協力して事件に挑む……という体験に重きを置いているのだろう。

 作中には「STAR LIGHT」「ガラスの十代」といった名曲も登場しており、ファミコンでありながら高音質で聴けるのは嬉しい点である。

 あくまで憧れのアイドルと同じ空間、時間を過ごすためのファングッズといった側面が強く、今でいうところの“推し”に会うためのツールと見るべきなのかもしれない。「乙女ゲー」の先駆けとなり、まさかの公式レーベルが手掛けた、今となっては非常に貴重な一作である。

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