■稀有な聖女が恋した相手は皮肉屋な褐色の美丈夫
次に紹介するのは、1986年より『花とゆめ』にて連載されていた日渡早紀氏の『ぼくの地球を守って』から紫苑。
本作は月基地で地球(KK=101)を監視していた男女7人の宇宙人が地球人へと“転生”し、前世の因縁を巡るSF群像劇だ。
ヒロインは地球人に転生した女子高校生・坂口亜梨子だが、もう一人のヒロインが亜梨子の前世の姿である木蓮(コウ=ハス=セイ=テ=モク=レン)だ。木蓮は周囲の反対を押し切って月基地メンバーとなっており、そこで褐色の肌を持つイケメン・紫苑(ザイ=テス=シ=オン)と出逢い、ある意味で彼に一目ぼれをしてしまう。
しかし彼は、学生時代から優秀な人物で女性にモテるタイプではあるものの、協調性に欠け皮肉屋なため周囲からは煙たがられた人物という厄介な相手。
彼は実は戦災孤児で、幼い頃にサーチェスと呼ばれる超能力で人を殺すという壮絶な過去を持っていた。その後も辛い別れと哀しみを経験したため、当初は自分と真逆な木蓮に妬みにも似た感情を抱いていたのである。いつしか木蓮自身に惹かれるようになるも、母星が滅ぶという緊急事態のさなかに彼女を傷付けるという過ちを犯してしまうのだった。
仲間から遅れること9年後、地球の少年・小林輪に転生した紫苑だったが、亜梨子の髪にガムを付けるなど意地悪ばかりしていた。実際は前世や転生後も両思いであるのは変わりないのだが、こんな「こじらせ男子」を好きになったばかりに木蓮と亜梨子は大変な思いのしどうしである。