『頭脳戦艦ガル』に『ファミコン野球盤』ゲームタイトルと内容がまったく結びつかないファミコンソフトの名作・珍作たちの画像
ファミコンソフト『頭脳戦艦ガル』(編集部撮影)
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 ゲームのタイトルは一目でそのストーリーや内容を想起させるものだが、なかにはタイトルと中身があまりにもかけ離れた意外なソフトも存在する。とくにファミコン時代はその流れが顕著で、遊んでみて驚いたプレイヤーも多いのではないだろうか。ファミコンの醍醐味ともいえる、ゲーム名が内容と結びつかない驚くべきソフトについて見ていこう。

■タイトルもジャンルもとにかく予想外? 『頭脳戦艦ガル』

 ファミコンといえば数々のシューティングゲームが発売されたが、なかでもタイトルと内容が絶妙に食い違っていたのが、1985年にデービーソフトから発売された『頭脳戦艦ガル』だろう。

 パッケージとタイトルのイメージ通り、本作のジャンルは自機を操作して敵を撃ち落としていく“縦スクロールシューティング”なのだが、まずここが最初の問題点。パッケージにも刻印されているのだが、当時、発売元は本作を“スクロール・ロールプレイングゲーム”と称していた。

 実はこれ、本作が発売される数カ月前に登場した名作『ドルアーガの塔』の大成功を受け、“パワーアップしていくRPGの要素を入れれば売れるのではないか”と、さまざまな曲解が重なった結果のようだ。

 さらに、このタイトルにもなっている「頭脳戦艦ガル」。なんと本作には直接登場していない。というのも、プレイヤーが操作する“ジスタス-21”が搭載されている母艦こそが「頭脳戦艦ガル」であり、その姿はパッケージでしかお目にかかれないようなのだ。

 ジャンルの相違、タイトルにもなっている戦艦の不在……と、驚かされる点の多い本作だが、ゲーム自体の難易度もかなり高め。

 本作は各エリアにあるパーツを100個集めるとラスボスに挑戦できるシステムになっており、そのためには“地底”、“コア”、“宇宙”の3ステージを繰り返し、パーツを集める必要がある。

 つまるところ、最近のソーシャルゲームではお馴染みとなっている“周回プレイ”を行っていくこととなるのだが、短めのBGMがループするなか、決してミスの許されない戦いを延々とし続けるという、プレイヤーの耐久力が試される構造になっているのだ。

 プレイヤーを少し混乱させつつ、ひとたび遊べばなかなかに骨太なシューティングを味わうことができる、なんとも奇妙な一作である。

■「野球盤」の元祖が仕掛ける球団育成ゲーム…『ファミコン野球盤』

「野球盤」といえば本物さながらに作られたミニチュアの球場で、手軽に野球対戦を楽しむことができるボードゲームだ。

 今もなお新たなシリーズが発売され続けているロングセラー商品だが、この名を冠したファミコンソフトが1989年に、このボードゲームの生みの親でもあるエポック社から発売されている。そのファミコンソフトこそ『ファミコン野球盤』なる一作だ。

 タイトルを見て、“ファミコンと野球盤がいったいどのようなコラボを果たすのか?”とワクワクしたプレイヤーも多いだろう。しかし、いざ蓋を開けてみると、内容はいたって普通の“野球ゲーム”だったのである。

 野球盤でお馴染みの“消える魔球”などのシステムは存在せず、自身が選んだチームを育てリーグでの優勝を目指していく。こう聞くと少しがっかりしてしまうかもしれないが、実は本作は肝心の野球まわりのシステムが非常に練り込まれた一作でもあった。

 リーグで勝ち上がるためには、試合後に得られる収益を活用して選手をトレーニングしたり、バットやスパイク、グラブといった“装備アイテム”を買い与えて選手を強化していく必要がある。

 試合をすることで選手たちのステータスも徐々に強化されていき、野球ゲームでありながらも、いわゆる“RPG”のような育成要素も兼ね備えているのだ。

 今でこそ“球団を育成する”概念はさまざまな作品で取り入れられているが、当時はまだまだ珍しく、ただの野球ゲームと思い手に取ったプレイヤーたちを、予想外の形で虜にした。

 本家である野球盤とは少しずれてしまったが、選手育成の奥深さを追求したそのシステム設計に、“野球盤”を手掛ける発売元の確かな実力を感じざるをえない一作である。

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