■今度の“塔”は骨太パズルゲー!? 『バベルの塔』
1985年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『ドルアーガの塔』は、敵を倒しながら塔を攻略していくアクションを下地に、装備やアイテムでキャラを強化していくRPGの要素が見事にマッチした、今もなお語り継がれる名作である。
そんななか、同社から翌年の1986年に、新たなファミコンソフト『バベルの塔』が発売された。そのタイトルから、“何かしらの繋がりがあるのではないか?”と、当時のファンは大いに期待したことだろう。
だが実はこの『バベルの塔』は、『ドルアーガの塔』とはまったく異なる世界観であるうえ、“アクションパズルゲーム”と、まるで別物の一作となっているのだ。
本作はステージごとに用意されたギミックを解き明かし、出口まで辿り着くことが目的となっている。主人公・インディーに用意されたアクションは横移動とツタを使った上下移動、そして目の前のブロックを持ち上げる、下ろすというシンプルなもの。だが、本作ではこの他愛ない動作が、ステージ攻略の鍵となる。
ブロックはすべて“L字型”をしており、これをうまく配置して階段のように利用することで、上段に位置するゴールへたどり着くことができるのだ。
しかも、ブロックを持ち上げるたびに“パワーポイント”が消費されるため、むやみやたらに試すことは不可能。限られた手数でどのように正解のルートを導き出すか……という点に、プレイヤーは頭を悩ませることとなる。
シンプルなゲームデザインでありながら、それでいて歯応えのあるパズルを楽しむことができる、新たな“塔”の名を冠する一作だった。
当時はまだインターネットも発達しておらず、ゲーマーたちはファミコンカセットの“タイトル”からその内容を想像し、期待に胸を膨らませていた。タイトルとはかけ離れた内容に意表を突かれるのも、当時だからこそ味わえる一種の醍醐味なのかもしれない。