■岩に1万回話しかけるデマも! 『ルビー・サファイア』ジラーチ

『ポケモン』シリーズ3作目『ルビー・サファイア』(2002年発売)では、プレイヤーの忍耐力を試すガセネタが広まった。

『ルビー・サファイア』に登場する幻のポケモンの1匹、ジラーチが捕獲できる白い岩デマだ。ジラーチは七夕をテーマにしたポケモンで「ねがいごとポケモン」と呼ばれている。

 宇宙センターが名物のトクサネシティには、周囲の岩と明らかに違う白色の岩がある。調べると「しろい いわ だ!」とメッセージが表示されるだけで、目立ったイベントはない。この意味深な岩を何度も調べ続けるとジラーチが出現する、と、当時話題になったのだ。

 問題は調べる回数である。100回でいいという例もあれば、七夕にちなんで777回、キリのいいところで1000回……と、とにかく膨大な回数を要求する噂が広まった。

 筆者が耳にした最大の回数は、脅威の1万回! 調べるのが1回あたり2秒だとしても約5時間30分かかる計算だ。ここまでやってジラーチが出てこなかった時の絶望感、想像したくもない……。

 また、宇宙センターと絡めて「宇宙センターのロケット打ち上げ回数が一定数を超えるとジラーチが出てくる」なんて都市伝説もあった。あの頃の子どもたちは七夕の短冊に願い事を書くように、デマに祈りながらジラーチ捕獲を夢見ていたのだ。

 

 “幻のポケモン”にまつわるデマを紹介してきた。読者のなかには「なんでそこまでして……?」と困惑している人もいるかもしれない。なにせ筆者自身も思い出しながら「なんであんなにがんばったんだ?」と、首を傾げているほどだ。

 確かなのは、当時のポケモントレーナーはそこまでするほどの情熱で『ポケモン』を遊んでいた事実だろう。

 インターネットが今ほど普及していない時代に、誰かが言いだした“幻のポケモン”のガセネタがあんなに広まった。その原動力は、みんなの「どうしても幻のポケモンが欲しい!」という、ある種の必死さだったのかもしれない。

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