■必殺技に偏重しすぎた対戦バランスは微妙……?
本作で対戦したことがある人ならば、誰しもブロッケンJr.の毒ガス攻撃の恐ろしさが心に残っているのではないでしょうか。それというのも、他の超人の必殺技は背後に回らなければならなかったり、簡単に出せても間合いを図る必要があるのですが、ブロッケンJr.の必殺技は唯一の飛び道具で、そのうえ近づいてAボタンを押せば簡単にヒットして痺れさせるうえ、連続で放つことで相手をハメ倒せてしまうのです恐怖の技なのです。
「父(ブロッケンマン)の技じゃ?」というツッコミはさておき、そのお手軽さとハメ性能の高さから、身内の対戦ではブロッケンJr.禁止令がでたほど。本作で必殺技を使うにはキャラクターのパワーが減る、つまりどちらかが負けそうになるとリングに投げ込まれる“命の玉”を取る必要がありますが、パワーで勝っているキャラでも取れるので逆転どころか返り討ちにされる恐れもあるのです。結局のところ「命の玉を取った方が勝つ」という傾向が強いバランスなので、対戦ゲームとしてみると微妙な作品といえるかもしれません。
■『マッスルタッグマッチ』は『キン肉マン』らしさに溢れた優良な対戦ツール
対戦ゲームとしてのバランスは微妙な本作ですが、流行していた「キン消し」に似てデフォルメされたキャラを動かして遊ぶ対戦ツールとしてはなかなかにいいゲームだったのではと思っています。後年、様々なハードでキャラクターの数も使用できる技も増え、また対戦を楽めるようなシステムが搭載された『キン肉マン』のゲームもたくさん発売されました。それでも『キン肉マン』のゲームとして『マッスルタッグマッチ』がすぐ頭に浮かぶのは、バランスの悪さに文句を言いつつも友人たちとワイワイ楽しめたゲームだからではないでしょうか。