ドラマ化された少女漫画のなかには、ときに大旋風を巻き起こした作品もある。たとえば、1992年から『マーガレット』で連載された神尾葉子さんの『花より男子』は、ドラマ化されたことでより人気度を高め、2023年4月に「最も多く発行された単一作者による少女コミックシリーズ」として、ギネスにも認定されている。
しかし、そのようなドラマは大ヒットする以前にも、すでに同じ作品が実写化されていたケースがある。しかも大ヒットしたバージョンと負けず劣らずの魅力的なキャスティングであることも多く、あらためて見てみると面白い。今回はそんな「初代実写化」でキャスティングされた、豪華すぎるヒロインたちを紹介したい。
■初代の“牧野つくし”は内田有紀さん!『花より男子』
ドラマ『花より男子』といえば、2005年からTBS系列で放送された井上真央さん主演のバージョンが有名だろう。しかし本作はこれより10年も前に、映画として実写化されている。
主人公・牧野つくし役は、ボーイッシュなショートカットが一世を風靡した内田有紀さんだ。そして、相手役の道明寺司役は谷原章介さん、花沢類役を藤木直人さんが演じるなど、こちらもかなり豪華な顔ぶれだ。VHSのジャケットに「一般市民。」と書いて「パンピー」と読ませているのが、なんとも90年代らしい。
当時の映像を見てみると、とにかく内田さんが可愛くてキュンとする。また95年に作られた作品とあって、神尾さんが『マーガレット』で連載していた漫画と服装がより近いことにも注目だ。原作とは違う大学生としての設定なので、キャラクターによって着こなすファッションも魅力的だった。
また原作ではつくしのクラスメイトであり、金持ちで庶民のつくしをいじめる山野美奈子役を藤原紀香さんが演じている。当時からゴージャス感が漂う藤原さんだが、つくしにさりげなくいじわるなセリフを言う場面も妙にハマっていた。
■3度の実写ヒロインはみんな豪華!『白鳥麗子でございます!』
鈴木由美子さんの大人気作品『白鳥麗子でございます!』は、1987年から1992年に『mimi』(講談社)で連載された人気漫画だ。初代実写化されたのは1989年。主役の白鳥麗子役を務めたのは、鈴木保奈美さんだ。
このドラマのキャストは、麗子の想い人である秋本哲也役を野々村真さん、そして哲也の恋人役を森口博子さん、麗子を狙う御曹司役を島崎俊郎さんが演じるなど、かなりユニークだ。
ドラマでは高飛車な麗子を鈴木保奈美さんがハイテンションで演じ、面白い回想シーンがちょくちょく入るなど、ほぼコメディだ。また原作における白鳥麗子は超ゴージャスなお嬢様でいつもフリフリなファッションをしているのだが、ドラマでもそれを忠実に表し、豪華絢爛な帽子や真っ赤なドレスなど、バブリー感満載のファッションも見どころだ。
また、本作はこの後も1993年に松雪泰子さん主演でドラマ化・映画化され、2016年にも河北麻友子さん主演で同じくドラマ化・映画化されるなど、計3回豪華なキャスティングで実写化されている。高飛車なお嬢様が見せる純愛劇は、いつの時代に見ても面白いのだろう。