■人気の戦国武将が活躍するRPG『真田十勇士』

 最後に、1988年発売の『真田十勇士』を紹介する。真田幸村とそれに仕えた“真田十勇士”自体は、昔から数多くの小説や映画の題材となってきており、近いもので言うと2016年に放送された堺雅人さん主演の大河ドラマ真田丸』が有名だろう。

 この『真田十勇士』というファミコンソフトは、前に紹介した2本のローカライズゲームとは異なり、『ケムコ』(コトブキシステム)開発のRPGゲームとなる。

 プレイヤーは戦国武将・真田幸村となり、諸国を巡り十勇士を集め、宿敵・徳川家康を倒すことが目的だ。

 しかし、このゲームには一般的なRPGにある“HP”というものがなく、その代わりに“兵力”という兵の数を保ちながら戦闘するシステムを採用している。兵力が高いほど攻撃力も上がり、それを維持するためのコストもかかる。コストが払えなくなると最悪の場合は反乱を起こすなど、シミュレーション的な要素でオリジナリティがあった。

 また、猿飛佐助や霧隠才蔵といった有名どころの家臣はもちろん、十勇士全員にグラフィックが用意されそれぞれに活躍の場面がある。さらには、要所要所のアニメーションも凝っており、当時では高い完成度であった。

 

 今回は、通好みなゲームメーカー『ケムコ』の良作ファミコンゲーム3選を紹介してきた。『スパイvsスパイ』『ホステージ』といった海外の良質なゲームのローカライズからはじまり、そこから『真田十勇士』のようなオリジナルのゲームを開発していったケムコ。

 子どものときにはおさなすぎてわからなかったが、大人になって気づく通好みな魅力がそこにはあった。

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