『ケムコ』(コトブキシステム)という会社をご存じだろうか。1984年に設立し、翌85年から家庭用ゲーム機に参入した老舗のゲームメーカーである。ビッグタイトルこそないものの、海外ゲームのローカライズを得意とし、その後オリジナルゲームなども開発。なかなか通好みなソフトを数多く販売している。
そこで今回は、ゲームメーカー『ケムコ』の良作ファミコンゲームを厳選して紹介する。大人になってわかった魅力もあったので、ぜひ今こそチェックしてみてほしい。
■対戦が熱い!『スパイvsスパイ』
まず、1986年発売の『スパイvsスパイ』(読み方は「スパイ アンド スパイ」)を紹介する。
アメコミが原作の海外ゲームで、ケムコが移植・販売したローカライズ版。そういった意味では「キャラゲー」と言えるが、ゲーム単体としてもしっかり楽しめる。(当時の日本で「キャラゲー」という認識で遊んでいた人は少ないかもしれない)
スパイ同士の情報争奪戦をテーマにした対戦型アクションゲームで、広大な屋敷を舞台にお互いに罠を仕掛けつつ、アイテムを回収し奪い合いながら、すべてのターゲットを集めて脱出できた方が勝者となる。
一人で遊ぶとコンピュータが弱過ぎてつまらなく感じてしまうかもしれないが、兄弟や友達などと対戦すると、急に面白さが跳ね上がる。シンプルで奥が深いため、今でも十分遊べるタイトルの1つだろう。
ファミコン当時も好評だったようで、その後、南国を舞台とした続編『南国指令!!スパイvsスパイ』も発売されている。
■緊迫した人質救出を再現『ホステージ』
次に、1989年発売の『ホステージ』を紹介する。こちらもケムコが海外ゲームをローカライズしたもので、文字通り直訳すると「人質」というタイトルがついた人質救出を目的としたアクションゲームだ。
このゲームは、人質救出までのミッションを大きく4つのパートに分けている。まずテロリストに占拠されたビルのサーチライトをかいくぐって周囲を包囲する第一段階、次にビルの窓に向けて狙撃し敵を減らす第二段階。第三段階でヘリから降下してビルに突入させ、そして、敵を倒しながら人質の身柄を確保する最終段階がある。
とくに、救出パートは『がんばれゴエモン! からくり道中』を彷彿とさせる迷路にFPS要素が加わり、あたかも救出部隊の一員になってビルに突入したような感覚になる。
人質救出という独特なテーマに映画的な演出で緊張感を出し、グラフィックも良く当時ゲームとしてはなかなかのセンスを感じる。