「そんなことある?」甘酸っぱい記憶が蘇る…子どもたちを虜にした「80年代ラブコメ漫画」あるあるの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 空前のラブコメブームが到来した80年代。それまではスポ根や硬派なものが多かった少年漫画においても、『きまぐれオレンジ☆ロード』『うる星やつら』『タッチ』などのヒットを皮切りに少年漫画×恋愛要素の形が出来上がっていった。

 当時のラブコメは、今の時代から見ればベタな演出も多い。しかし、ベタだからこそ人々を魅了し夢中にさせた。そこで今回は「80年代ラブコメあるある」を深堀してみようと思う。

■ちびまる子ちゃんも憧れた異性とぶつかって偶然のキス

 ラブコメあるあると言えば、曲がり角や学校の廊下でぶつかって偶然にキスしてしまうハプニングだ。漫画では、そこで「何するのよ!」や「いったーい!」といったセリフを発しつつ、お互いを意識しだすといったパターンで恋が始まっていく。

 現実では、このラブハプニングが起こる確率は低いだろう。身長差もさることながら、まず顔を突き出して歩かないと中々唇はぶつからない。しかし、当時のラブコメではこういった漫画らしいシチュエーションにドキドキし、実際に起こったらどうしようなんて想像を膨らませたものである。

 さらに、パンを咥えた女の子が「遅刻遅刻」と言いながら走ってきたところにぶつかる、というシチュエーションが印象に残っているという人も多いだろう。しかし、これは実際のラブコメで初登場したのではなく、相原コージ氏・竹熊健太郎氏による『サルでも描けるまんが教室』の中で、「パンを咥えた女性が走るシーン」が少女漫画の描き方の参考例として描かれたものが元祖だといわれている。

 このシーンはその後さまざまな漫画で引き継がれ、アニメでも『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビシリーズ最終話や『けいおん!』の第1話などでパンを咥えて走るシーンが描かれた。

 他にも、『ちびまる子ちゃん』の中で、まる子が少女漫画の主人公のような運命の出会いに憧れて食パンを咥えたままダッシュで登校したことがある。走りにくい上に出会いもないというオチだったが、いつの時代も「素敵な異性とハプニングによって出会う」というのは憧れるシチュエーションなのかもしれない。 

■男子に覗かれがちな女子の着替えシーン

 80年代のラブコメの多くにはお色気要素がちょっぴり加えられており、あるあるだったのがヒロインを始めとした女性キャラの着替えシーンの数々。

 一人で着替えているだけの場合もあるが、ヒロインが学校の教室や自宅で着替えていたりお風呂に入っていたりするときに、好きな相手や男子たちに覗かれてしまうといったパターンもあった。

 そこからヒロインが「キャー!」と叫び、男性キャラがドギマギしながら焦って逃げる、といった流れも定番といえるだろう。あくまでも「着替えていたらたまたま覗かれてしまった」といううっかりハプニングが多かったが、中には『きまぐれオレンジ☆ロード』のように、毎週のようにストーリーのどこかでパンチラや着替えや下着のシーンが描かれていた刺激的な作品もあった。

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