■育成も楽しめるアクションゲーム
『霊幻道士』は、シングルプレイの横スクロールのアクションゲームである。操作し始めるとすぐに分かるが、道士の移動や技が非常になめらかで、敵キョンシーもしっかりジャンプ運動している。当時のファミコンゲームとしてはかなり優秀な動きだ。
また、ただのアクションゲームというだけでなくRPG的育成要素もある。道中キョンシーを倒してさまざまな施設を開放したり、お札や剣などのアイテムを装備したり、新たな技を習得したりしながら、自キャラを強くしていく過程も楽しめる。この育成システムによって、マンネリ化せず最後までしっかり楽しめる仕組みになっているのだ。
■戦い方・楽しみ方いろいろのボス戦
ボス戦も非常に楽しい。それぞれのステージにはボスがいて、チビキョンシーや細いキョンシー、他には空を飛ぶ敵や武器をもった敵など、レパートリーもなかなか豊富だ。
戦いは『ロックマン』のように敵味方どちらにも体力ゲージが表示され、それが尽きたら負けというシンプルさだが、だからこそ白熱した戦いになる。習得した技を使ったり、装備アイテムのお札や剣を使ったり、さらには「コンシー」を遠隔操作したりと倒し方もさまざま。ちなみにコンシーとは道士の思い通りに操れるキョンシーのことで、『霊幻道士』シリーズでのみ使われる造語である。ファンとしては、こうした本作ならではの要素があるのもうれしいポイントだった。
本作は全8ステージあり、ラスボス・女妖術士オーボーを倒すと全クリアになる。ゲームボリュームも、当時のファミコンの容量としては十分だ。また合間合間にはさまれる弟子とのとぼけた会話も、映画『霊幻道士』のコメディ要素を感じさせてくれてよかった。
今回は、発売35周年記念ということでファミコンソフト『霊幻道士』を紹介した。映画『霊幻道士』をもとにしたいわゆるキャラゲーというジャンルに入るものの、ゲームとしての完成度も高い本作。キョンシーファンはもちろん、キョンシーをよく知らないゲーマーでも十分に楽しめる内容だといえるだろう。
現在でも、中古ゲームショップやフリマアプリなどで取引されているので、気になった人はぜひ一度プレイしてみてほしい。