1980年代後半の日本では、キョンシーが大ブームだった。両手を前にのばしピョンピョン跳ねる、おでこにお札を付けられたら動かなくなるなど、当時の小学生なら誰しもキョンシーの真似をしていたものだ。また、キョンシーブームを盛り上げたドラマ『来来!キョンシーズ』の主人公・テンテンが、その可愛さからアイドル的な人気を集めていたのを覚えている。
そんなブームの中、もちろんキョンシーのゲームも作られ、ファミコンソフト『霊幻道士』はその1つだ。実は隠れた良ゲーで、9月16日には発売から35周年を迎える。そこで今回は、あらためてファミコン『霊幻道士』の魅力を紹介していく。
■ファミコン『霊幻道士』ってどんなゲーム?
ファミコンソフト『霊幻道士』が発売された1988年は平成になる直前の年だが、ゲーム界はまさにファミコン全盛期。『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』『スーパーマリオブラザーズ3』『桃太郎電鉄』など、現在でもシリーズが続く名作たちがこの年に発売されている。
『霊幻道士』を発売したポニーキャニオンは、『孔雀王』『子猫物語』など映画や漫画をもとにした「キャラクターゲーム」を得意としていた。この『霊幻道士』も、1986年に日本で公開されたリッキー・リュウ監督の同名映画を題材にしている。
■キョンシー好きに刺さるホラー要素
『霊幻道士』は、プレイヤーが一人の道士となり、弟子とともに行く先々の村をキョンシーから救っていくという、映画の内容を踏まえたホラー的な内容になっている。
パッケージやソフトのイラストにはかわいい子どものキョンシーが描かれていて、一見ポップな印象だが、よく見ると背景では映画の一場面のようにおどろおどろしく道士とキョンシーが戦っている。
また、ソフトを起動させてすぐのオープニングも秀逸だ。ファミコン独特のドット絵ながら、棺桶から復活するキョンシーはなかなか迫力があり、今見ても十分怖い。それもそのはず、本作では『めぞん一刻』のキャラクターデザインなどで知られる有名アニメーター・森山ゆうじ(森山雄治)氏が、動画指導に携わっているのだ。キョンシーファンには、このオープニングだけでもぜひ見て欲しい。