『水島新司の大甲子園』に『究極ハリキリ甲子園』も…“高校野球を舞台”にしたファミコンゲームを振り返る	の画像
ファミコンソフト『究極ハリキリ甲子園』

 7月現在、全国各地で行われている高校野球の地方大会が注目を集めている。そして来る8月6日より、阪神甲子園球場で全国の強豪による熱戦が繰り広げられる。

 ボーイズリーグで少年野球をしていた筆者も、幼い頃から甲子園を毎年楽しみにしてきた。しかし、そんな高校野球を舞台にしたファミコンゲームというのは意外にも少なく、残念に思った記憶がある。そこで、高校野球を舞台にしたファミコンゲームたちを振り返ってみよう。

■礼儀正しい高校球児が主役! 地元で全国制覇を狙った『甲子園』

 1989年にケイ・アミューズメントリースから発売されたのが『甲子園』だ。タイトル通り甲子園が舞台であり、第70回全国高等学校野球選手権大会の選手データが実名で入っている。

 オープニングには、甲子園の名曲ともいえる「君よ八月に熱くなれ」が流れるから熱い。80年代に小学生だった筆者は、テレビ中継で試合前に流れるこの曲を何度も口ずさんだものだ。

 さて、このゲームは49校の代表校から1校を選んで優勝を目指し、負けるとグラウンドの土をかき集めるシーンが入る。やはりまずは、自分の地元のチームを選択してみたものだ。ちなみに、高校名は文字を入れ替えて架空のものにしてあるのだが、選手は実名なので、ほとんどどこの高校か分かっていた。

 ゲームは『ファミスタ』に代表されるような設定なので、簡単に操作できる。イニングの最初にバッターボックスに入る選手は、ヘルメットを取って一礼……と、礼儀正しい高校球児を再現していた。

 選手の能力値はマスクデータとなって見えないが、代わりに「根性」というデータが5段階で表示されている。この根性の値が高いと、たとえば打者ならチャンスになると気合が入り、低いと震えてしまう。チャンステーマに乗って好結果が出やすくなる仕組みだ。

 このゲームは第70回大会を取り入れているので、谷繁元信さん、仁志敏久さん、川崎憲次郎さん、前田智徳さん、前田幸長さんなど、のちにプロ野球で活躍した選手も入っていた。友達との対戦にも燃えたゲームだったな。 

■コマンド式のゲーム内容が斬新だった『水島新司の大甲子園』

 1990年にカプコンから発売された『水島新司の大甲子園』は、人気漫画の『ドカベン』から『大甲子園』をモチーフにして作られたゲームだ。

 ゲームモードは「対戦」と明訓高校で甲子園制覇を目指す「大甲子園」があり、ダイジェストで各試合を戦い抜いていく。

 通常の野球ゲームと違ってコマンド型のため、1球ごとの選択が勝敗のカギを握る。ミートゾーンにマス目で得意コースがあり、球種や速度を選択して駆け引きを楽しめるのだ。投手と打者の駆け引きに重点が置かれており、原作同様に熱いバトルを楽しめるのがポイントだった。

 選手には固有の必殺技もあり、里中智の「さとるボール」や殿馬一人の「白鳥の湖」など、コマンド式ならではの表現ができていた。なかでも岩鬼正美の「悪球打ち」にはビックリした。ミートゾーンが1マスしかなくボール球が得意コースになっており、原作をよく表現できていたものだ。

 コンピュータ相手の読みになるのだが、これがハマればホームランも出やすくなり、思わずガッツポーズをしたくなる。山田太郎のようにどのコースでも打ち返す打者も楽しいが、岩鬼や微笑三太郎などの長距離砲でなくても読みが当たれば誰でも長打を放てるのがこのゲームの魅力だろう。

 主力の山田たちが1年生のころからストーリーが進行するが、今さらながらとんでもないチームだったものだな。

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