■暗い過去もあった『こどものおもちゃ』倉田紗南

 1994年から『りぼん』で連載されていた小花美穂氏の『こどものおもちゃ』の主人公・倉田紗南も同年代の読者が憧れ、大人にとっては見守りたくなるキャラだった 。

 子役タレントとして映画やドラマへ出演し、バラエティでも活躍する紗南は大人も顔負けレベルの世渡り上手で、快活な性格。学校で起こる問題も自分から解決していこうというパワフルさは、さすが少女漫画の主人公だと拍手をしたくなるほどだ。

 しかし実は自身の出生にまつわる暗い過去があり、それが明かされた際には、彼女の誰より明るい性格も周囲に心配をかけまいと気丈に振る舞っているように見えてしまった。その姿が小学生ながらにいじらしすぎて、胸がギュッとなる。

 さらに、近しい存在との別れが無意識にトラウマになっている紗南は、物語の後半で「人形病」と呼ばれる本人は笑っているつもりなのに実際は真顔なままだという精神的な疾患を患ってしまう場面もあった。

 小学生ながらあまりに重い人生を生きる彼女の姿には、今あらためて読み返してみても、あまりのいじらしさと頑張り屋なところにはかなわないと感じる。つい尊敬してしまうのだ。

 少女漫画のヒロインが持つ重要なポイントは「共感性」だろう。完璧ではないが、目の前のことを一生懸命に頑張る彼女らの姿は、つい応援したくなってしまう。

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