■莫大な“ギル”がかかるギャンブル性の高いようじんぼう
最後は『ファイナルファンタジーX』より、物語の中盤、ナギ平原と呼ばれる広大な平原を進んだ先にある洞窟で入手可能な召喚獣「ようじんぼう」。ヴァルファーレやイフリートを始め、『FF10』の召喚獣は動物系などの見た目が多いが、ようじんぼうの場合は笠に羽織に刀と、外見は和風の剣客スタイルに近い。
もっとも強烈なのは本人の戦い方だ。『FF』シリーズの通貨である「ギル」を心づけないと攻撃しない。ようじんぼうのために毎ターンお金がかかるうえ、どのような技をくり出すかはランダムであり、ちょっとしたギャンブルをやっている気分になる。交渉の仕方にもよるが、そもそも仲間にするにも莫大なギルが必要なので、その後の装備やアイテムに充てる分を思うと懐が痛かった。
ようじんぼうの攻撃方法は「ダイゴロウ」「小柄(こづか)」「脇差(単体)」「脇差(全体)」「斬魔刀」の5つ。これらからランダムで技をひとつ使う。ダイゴロウは連れている犬を差し向ける技で、ようじんぼう本人はなにもしない。小柄は小刀を投げつけ、脇差は居合斬りで単体、あるいは全体を攻撃するという具合だ。
斬魔刀はまさに必殺技であり、相手を必ず即死させる。ストーリー上のボスや、やり込み要素で出てくるような隠しボスも一撃で斬り捨てる。代わりに発動する確率は途方もなく低く、数十万~数百万以上のギルを支払うぐらいでないと、なかなかお目にかかれない。あらゆる耐性を無視して敵を即死させるという点では、『FF8』の特殊技である“ジエンド”と似ている。要は反則技のようなものなので、その確率の低さも納得ではある。
作品ごとに世界観が異なることが多いためか、同じ『FF』でも召喚獣の立ち位置は異なり、その世界での扱いや設定を知るだけでもおもしろい。2023年9月にはシリーズおなじみの解説書「アルティマニア」の『FF16』版が発売予定となっている。最新の『FF』における召喚獣の詳細が気になる人は、購読してみてもいいかもしれない。