『夕闇通り探検隊』に『コワイシャシン』も…90年代末のホラーブームが生んだ“プレステ時代の名作ホラーゲーム”3選の画像
プレイステーションソフト『夕闇通り探検隊』
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 90年代末は『リング』や『らせん』といった数々の名作ホラー映画が公開され、世は“ホラーブーム”で盛り上がっていた。そんななか、90年代末から00年はじめにかけて、ゲーム業界にもさまざまなホラー作品が登場している。そこで、プレステ全盛期、世に放たれた数々の名作ホラーゲームたちについて見ていこう。

■変わりゆく街で“噂”を追い求める少年たち…『夕闇通り探検隊』

 何気ない日常のなかで、人から人へと奇妙な“噂”が伝播され、やがてそれらと遭遇してしまう……というシチュエーションは、やはりホラーならではの薄気味悪い魅力に溢れている。

 1999年にスパイク(現:スパイク・チュンソフト)から発売されたPSソフト『夕闇通り探検隊』は、中学生の少年少女たちが街で囁かれる“噂”を解明し、その背後に潜むさまざまな怪異と対峙するアドベンチャーゲームだ。

 かつてヒューマンより発売された『トワイライトシンドローム』の後継作にあたり、直接的な繋がりこそないものの、過去作のテイストが色濃く受け継がれている。

 プレイヤーは舞台となる「陽見市」に囁かれる“噂”を収集し、聞き込みや検証を経て、その噂にまつわる事件を解決していく。実在する風景をモチーフに2Dで再現された街の情景は非常にリアルで、それがより一層、ホラー描写に生々しい説得力を与えてくれる。

 加えて、主人公・ナオこと村瀬直樹をはじめとした登場人物たちも人間臭いキャラクターばかりで、ちょっとした癖や仕草で個性を表現するなど、作り手側の芸の細かさが随所で発揮されているのだ。

 噂ごとに専用のシナリオが用意されているのだが、幽霊ものやオカルトものはもちろんのこと、人間の闇を描いたもの、ギャグテイストなくだらないものなど、多種多様なものが用意されている。

 ホラーゲームとして“恐怖”の演出もさることながら、中学生たちが送る青春の日々、そして彼らが住む発展途上の街のなかで、ひっそりと消えていくものの物悲しさを描いた独特の世界観も、本作の大きな魅力といえるだろう。

 ちなみにこの『夕闇通り探検隊』だが、なんと現在はプレミアがついており、フリマサイトなどでは2万円を越える高値がつけられている。また、難易度が高いことから本作の攻略本も需要が高いのだが、こちらも合わせてプレミアがつき高額になっている……という、非常に珍しいホラー作品といえるだろう。

■制作過程こそがなによりもホラー?『コワイシャシン ~心霊写真奇譚~』

 ホラーといえば、やはり“幽霊”の存在を欠かすことはできない。なかでも偶然それらが写り込んだ“心霊写真”は、怪談話においては鉄板の存在だ。

 2002年にメディアエンターテイメントから発売されたPSソフト『コワイシャシン ~心霊写真奇譚〜』は、そんな“心霊写真”をメインに据えたホラーアクションゲームだ。プレイヤーは霊能者の主人公を操作しながら、さまざまな写真に宿る悪霊と対峙し、戦っていくこととなる。

 本作は文章を読み進めていくストーリーパートと、実際に悪霊を倒す戦闘パートに分かれており、心霊写真を題材にしつつもアクションの要素を盛り込んだ点は非常に斬新だといえるだろう。

 登場する心霊写真はどれもこれもおどろおどろしいものばかりなのだが、これについて、とても恐ろしい噂があるのをご存じだろうか。それは、実はゲームに使われた心霊写真はすべて“本物”が使われているというものだ。

 とはいえ、公式では“本物”という明言はされていないようで、噂の域を出ないものではあるのだが、そのほか、製作者側にさまざまな怪奇現象が起こったなどという“怖い話”も囁かれており、一部のファンの間では“いわくつき”のゲームとして人気を博しているのも事実。その影響もあってか、本作も現在ではプレミアがつく作品となっており、万単位の価格で取引されている。

 はたして真実なのか……はたまた都市伝説の類なのか……制作背景自体が“恐怖”となった、なんとも珍しい一作だ。

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