令和の現代でも数が少ないのは相撲ゲームだ。一定の人気が常にあるものの、野球やサッカーと比べてもゲーム化は少ないのが実情でもある。ファミコンでは1987年に発売された『つっぱり大相撲』(テクモ 現:コーエーテクモゲームス)が有名なものの、ほかにも発売されている相撲ゲームが存在する。そこで、『つっぱり大相撲』以外のファミコン版相撲ゲームを紹介していこう。
■実はつっぱりの本家はこれ! 人気力士・寺尾で横綱を目指す『寺尾のどすこい大相撲』
1989年にジャレコから発売されたのが『寺尾のどすこい大相撲』だ。このゲームは『つっぱり大相撲』から2年後の発売となったのだが、もともと“つっぱり”といえば、当時の人気力士・寺尾関の代名詞。千代の富士関や貴乃花関、大乃国関などの名横綱を相手に、果敢に張り手を浴びせていたものだ。
このゲームは番付を上げていく「昇進編」と2P時の「対戦編」、そしてRPGモードの「日本一周編」がある。昇進編は『つっぱり大相撲』と同じようなシステムだったが、やはり目玉は「日本一周編」だった。
盗まれた賜杯を取り戻すために寺尾が全国を駆け回るのだが、なぜか敵キャラの力士とエンカウント対決をしていく。ボスキャラを倒すとクリアとなり、そのまま経験値を活かして昇進編に突入することができるのだ。なかなかユニークなシステムといえるだろう。
まあ言ってみれば武者修行のようなものなのだが、今考えても力士がRPGとは新鮮だ。このゲームについては賛否両論あるようだが、筆者は結構楽しんでいたものだった。
それにしても、あの当時の大相撲は盛り上がっていた。千代の富士、大乃国、北勝海、旭富士、北天佑、小錦、朝潮……といった上位陣に、寺尾と逆鉾の兄弟、そして幕下の曙や若貴兄弟といった次世代が育ってきていて面白かったな。
■ヒーローたちの意外な組み合わせに驚いた『SDバトル大相撲 平成ヒーロー場所』
一風変わった相撲ゲームといえば1990年に発売された『SDバトル大相撲 平成ヒーロー場所』(バンプレスト 現:バンダイスピリッツ)だ。『ガンダム』『ウルトラマン』『仮面ライダー』など、異なるヒーローたちが揃ったクロスオーバー作品で、のちの『スーパーロボット大戦』や『コンパチヒーロー』シリーズにつながっている。
作品ごとに体格が異なるので、SD化して統一する趣旨が面白い。それより、今考えてみると、この企画が実現したこと自体、凄いことといえるだろう。60年代、70年代、80年代と子どもたちを虜にしたヒーローたちが相撲で争うのだから、楽しいこと間違いない。
筆者は初期ガンダムを含めてすべて再放送で視聴した世代で、当時は中学生だったが、版権はどうなっているのか?なんて、心配してしまったものだ。
ちなみに各ヒーローはそれぞれ「M78部屋」(ウルトラマンシリーズ)、「ライダー部屋」(仮面ライダーシリーズ)、「MS部屋」(ガンダムシリーズ)に分かれ、生みの親である円谷皐さんや石ノ森章太郎さん、富野由悠季さんが親方のモデルとなっている。
ゲーム自体は『つっぱり大相撲』と似ているのだが、やはり必殺技がとんでもない。仮面ライダーは上空高くジャンプしてライダーキックを放ってくるし、ウルトラマンはスペシウム光線を放つ。
いやいや、お前らどう考えても反則じゃん!って言いたいところだが、決まり手が「きりもみけりたおし」や「すぺしうむなげ」と文句なし。ウルトラセブンにいたっては「あいすらっがーきりたおし」と、もはや殺人レベルだ。
ガンダムMk-IIもビームサーベルを振り回す「びーむさーべるきりたおし」と、訳の分からん決まり手で相手を吹き飛ばす。モデルとなった富野親方も「これが さいこぱわーだ!」とご満悦だから仕方ない。
それにしてもやはり、ヒーローたちを揃えたのは素晴らしい。さすがバンプレストといったところか。