■子どもの頃の憧れの存在だった大横綱に褒められたい! 『千代の富士の大銀杏』

 最後は、“昭和最後の大横綱”である千代の富士関の名を冠した『千代の富士の大銀杏』(フェイス)だ。発売されたのが1990年の12月であり、すでに35歳となっていた千代の富士関も力士として晩年のころである。

 とはいえ、同年の初場所は14勝で優勝。11月の九州場所でも13勝で31度目の優勝を飾るなど、まだまだ実力ナンバーワンだった。

 さて、ゲームは『つっぱり大相撲』とよく似ているが、「まわし」や「気力」というシステムなどが追加されていた。組んだだけではかけられない技もあり、現実の取り組み同様に“まわしを掴む”とチャンスとなる。

 本場所を終えて稽古となり、パラメータを上昇させて強くなっていく。「つよく なったなあ。」と子ども時代のヒーローだった千代の富士関に褒められると、思わず嬉しくなったものだ。

 相撲好きな人にとっては面白いゲームだったと思うが、時はファミコン末期だったうえ、ブームは“若貴”に移ろうとしており、さらに発売元がファミコンではほとんど知られていないことを受けて、あまり知名度が高くないのが残念だったな。

 

 相撲はもっとファミコンでもゲーム化されてほしかったのだが、そもそも相撲ゲーム自体が少ない。それだけに、初期作品の『つっぱり大相撲』は名作として存在しているのだろう。

 せっかくの日本で古来より親しまれている相撲なのに、ファミコンの世界ではどうしてもマイナー競技という印象が拭えない。過去の力士もすべて実名で登場する相撲ゲームがあれば、きっと人気が出ると思うのだが……現実的に難しいのだろうな。

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