■スポーツのルールそのものを変えてしまう…“トンデモ操作系”裏技
1983年に任天堂より発売された『ベースボール』は、野球を題材とした一作で、その操作方法や基礎となるシステムは、のちに発売される多くの野球ゲームに受け継がれた。
本作では投球時に十字キーを操作することで、球の速度やカーブの具合を調整できるのだが、“とある裏技”を使うことで「超スローボール」と呼ばれる奇妙な球を投げることができる。
やり方はちょっと特殊で、ファミコン実機の拡張端子にもう一つ別のコントローラーを接続し、球を投げる際に二つのコントローラーでそれぞれ「上」と「下」にキーを入れておくというもの。こうすることで投げた球が限りなく遅くなるだけでなく、キャッチャーの手元に届くまで自由自在に軌道をコントロールすることができる。
その軌道はもはや野球ボールというより現代におけるドローンのようで、グネグネと何度も曲がりながら、たっぷりと時間をかけて届く姿はなんともシュール。
あまりにも曲げすぎると画面に収まらなくなることから、カメラが俯瞰図に切り替わってしまうなど、まさにありえない軌道を描く“魔球”を投げることができた。
ピッチャー側としては変幻自在にボールを操れるから面白かったものの、バッター側としてはこの軌道を読み切るのが難しすぎて、友達同士でプレイしていたら喧嘩に発展してしまうことも……。
ちなみに曲げ方によってはあまりのスローっぷりに“球速00km/h”を実現できたりと、ゲームタイトルにもなっている「野球」というスポーツの概念を色々と覆してしまう、なんとも奇妙な裏技である。
“裏技”といえば正規な方法を使わずにパワーアップしたり、意外な方法でステージをクリアできるおいしい効果が期待できるものだが、今回紹介したものはどれも、使うことでゲームの楽しみそのものが奪われかねないものばかりだ。どうしてもクリアできないときの救済に、あるいはちょっとした話のネタに……あくまで自己責任で、ということだろう。