ファミコン(以下、FC)には数々の名作ソフトが登場し、高い人気から続編が作られ、シリーズ化していった作品も多い。しかし、高い知名度を誇る一方で、意外なことに続編がそこまで普及していない名作シリーズもちらほらと存在する。今回は、人気シリーズたちの「2」以降のシリーズについて見ていこう。
■“続編”としての繋がりは少なめ? 『スパルタンX2』
1984年にアイレムよりアーケードゲームとして稼働され、1985年に任天堂によってFC移植された名作と言えば、『スパルタンX』である。
ジャッキー・チェン主演となる同名映画を題材としたアクションゲームで、プレイヤーは群がってくる敵キャラをパンチやキックで蹴散らしながら、ステージ突破を目指していく。
雑魚敵をなぎ倒す爽快感はもちろんのこと、原作映画の空気感を受け継いだコミカルな演出や、BGMや合成音声で表現された“カンフー映画”の世界観は、多くの人々を惹きつけた。
実はそんな本作の続編が、のちの1991年に同じくアイレムから登場していたのをご存じだろうか……? タイトルは『スパルタンX2』と、しっかりと続編である事を示す“2”の数字が刻印されている。しかし、実はこの作品、前作の『スパルタンX』との繋がりはかなり希薄だった。
前作の主人公がジャッキー扮するトーマスだったのに対し、“2”では捜査官のジョニー・トーマスになっており、名前こそ似ているが見た目も別人だ。ゲームのシステムや操作性こそ大きくは変わっていないものの、回復アイテムの登場や難易度選択、コンティニュー機能の導入など、細部での変更点は多い。
なかでも地味に大きな変更点が、前作で好評だった合成音声の撤廃だろう。主人公がジャッキーモチーフのキャラではないためか、「アチョー」、「オリャー」といった独特の声が聞けなくなったのは、前作を好きだったプレイヤーからするとどこか残念に感じてしまったかもしれない。
全体的に良作ではあるものの、実は前作の続編であるという“版権表記”がなかったりと、正式な繋がりが薄めな一作である。
■良作ではあっても“死にゲー”にあらず?『スペランカーII 勇者への挑戦』
ゲーム史上、“最弱”のキャラは誰か……という疑問に対し、多くのゲーマーが候補に挙げるのが、1985年にアイレムより発売された『スペランカー』の主人公だろう。
主人公の探検家を操作し、地下の洞窟を探索するアクションゲームなのだが、ほんのわずかな段差から落下しただけで死亡してしまうシビアな判定と、それゆえの高難易度から一躍有名となったタイトルである。
高い知名度を誇る本作だが、実は1987年に同社より続編『スペランカーII 勇者への挑戦』が発売されていた。
正式な続編……ではあるものの、その内容は前作とは“まったく別物”と言って差し支えないだろう。
まず『スペランカー』の醍醐味でもあった“死にやすさ”だが、今回からライフ制が導入されたことにより、主人公はかなり頑丈になっている。また、前作よりも大量に出現する敵を、無制限に繰り出せる攻撃アクションでガンガン撃破していくという作風になっており、一般的なアクションゲームに近い作りに変更された。
主人公が選択制になったり、制限時間の概念が撤廃されたりと、全体的に制約がなく、ゆったりと遊べるシステムとなっている。
グラフィックやBGMのクオリティ、バランスの取れた難易度など作品単体としてのクオリティは高水準であるものの、やはり本作の賛否両論点はなんといっても“前作とは別物”という点に尽きるだろう。
前作のような“死にゲー”としてのシビアさを求めると、どこか肩透かしを食ってしまうかもしれない。良くも悪くも、初代作品の強烈なインパクトに評価が左右されることとなった続編作品である。