1980年代に小学生だった筆者の時代には“スケバン”の存在が身近なものであり、綺麗なお姉さまがたに憧れつつも震えたものだった。スケバンといえば『スケバン刑事』が大人気で、クラスでもヨーヨーが大流行したものだ。当時のスケバンドラマは、大御所の意外な人たちも多く出演していた。そこで、80年代に面白かったスケバンドラマを振り返ってみよう。
■どっちが主役か分からなかった中山美穂&仙道敦子の『セーラー服反逆同盟』
まずは、1986年から放送された、中山美穂さんと仙道敦子さんがダブル主演を務めたドラマ『セーラー服反逆同盟』を紹介したい。主演の山縣ミホを演じた中山さんは、すでにドラマ『毎度おさわがせします』や映画『ビー・バップ・ハイスクール』で人気絶頂のアイドル。筆者も大好きだった。
現在の校長一派を倒すため、彼女らが「セーラー服反逆同盟」を結成するというストーリー。派手なメイクに白いセーラー服姿で登場するという、青春アクションドラマだ。
オープニング早々、きりっとした顔つきで登場する中山さんにはドキドキしたものだ。第1話では中山さん演じるミホが理事長の額縁入り写真に灰皿を投げつけ、ガラスを叩き割るのだが、それでも可愛いな〜と思ったな。セーラー服がもはや反則もの(?)だった。
しかし、このドラマの舞台である黒鳥学園はとんでもない設定だった。親や学校から見放された生徒たちばかりが通うという、曰く付きの学校なのだ。
二学期の始業式では、校長役の藤岡重慶さんがのっけから「おまえたちはクズだ!」と厳しく言い放ち、「もともとお前らを人間扱いしたのが間違いのもとだ」からの「クズは生まれつきクズになるようにできておる!」でまとめている。
いやいや、校長! さすがに言い過ぎだろう。今の時代なら放送できないレベルだ。しかも、そのすぐあとには教師の安岡力也さんが「愛のムチだ」などと言いながら、木刀で生徒への体罰を繰り返しているし……。
そしてトドメは、そんな状況のなか、なんとヘリコプターで仙道さん演じる高坂ユミが登場するのだ。もはやカオスな設定なのだが、超美少女が微笑を浮かべ颯爽とヘリから降り立つシーンはインパクトが大きく、テレビ画面に釘付けになったものだ。
ちなみに、コミカルな教師役として竹中直人さんも出演していたが、なぜか語尾に「ざんがしょ」とつける。やることなすこと気持ち悪さ全開だった……。そんな彼らがみんなリベンジされていくのが爽快だったな。
■オープニングからぶっ飛んでいる! 石田ひかりや和久井映見が出演した『花のあすか組!』
1988年にドラマ化された、高口里純さんの人気漫画『花のあすか組!』も、設定がとんでもなかった。まず、開始早々、女子中学生たちがまるで戦国時代かのように戦う姿が映し出される。
シーンは変わり、小高恵美さん演じる主人公・あすかが、佐藤恵美さん演じる親友の幸子と仲良く学校に登校していると、なんと甲冑を身に付けた女性が馬に乗って突然登場するではないか!
このお方はこの学校はおろか、全国を支配しようとしている「全中裏」という組織の幹部“紅”で、反論した幸子の首にロープを回して引きずり回す。いやいや、完全にアウトだ。あすかのコイン投げが紅の眉間にヒットして窮地を脱するのだが、ここからがもっとヤバイ。
美しい顔に傷をつけられたと紅は「我々の支配に抵抗する者はイジメてイジメてイジメ抜き、アブラムシとして吐き捨てよ!」と怒り狂うのだ。コンプライアンスを度外視した暴言なのだが、これも時代設定なのか……。
クラスのみんなにいじめられ、結局あすかは自殺未遂を図る。命は助かるものの、親友の幸子はひとり、すでに全中裏に忠誠を誓っていた。ちなみに、敵役として登場する風林火山の火の刺客が和久井映見さん。とっても可愛いものの、なんと油を巻いてあすかの周辺に火をつけたりもする。普通に殺人未遂だ。
残念ながら、幸子は紅にいたぶられ、息も絶え絶えであすかの自宅にたどり着いたのち、彼女にコインを託して死んでしまう。おいおい、病院か警察呼べよ……と思ったな。
親友の死をきっかけに髪も切り、“あすか組”を立ち上げたあすか。構成員はまだ一人なのだが、その後、香月はるみ役の石田ひかりさんが登場。これがまた可愛い。まさに当時はアイドル全盛期だったな。
それにしても幸子は可哀そうだった。このドラマで早々に出番がなくなってしまった佐藤さんだったが、もっと見たかったものだ。