1983年に『ファミコン』が発売されてから人気となったのが、アーケードから移植されてきたシューティングゲームだ。『スーパーマリオブラザーズ』や『ドラゴンクエスト』も大人気だったが、シューティングゲームがファミコンブームの火付け役に一役買ったのは間違いないだろう。
そんなシューティングゲームのなかには、時に手に取りたくなるようなネーミングのゲームがしばしば登場していた。そこで、筆者がとくに物欲を刺激された1985年のシューティングゲームを紹介したい。
■RPGなの? 敵を撃墜してパワーアップするシューティングゲーム『頭脳戦艦ガル』
まずはこのネーミングに勝るゲームはあるだろうか?と思ってしまう『頭脳戦艦ガル』だ。デービーソフトから12月に発売されている。
「頭脳戦艦」だと? いったいどういう意味なのだろう……と、気になって購入したものの、当時は説明書を何度読み返しても意味が分からなかった。
とある銀河系にあるジスタス惑星を救うため、母艦である頭脳戦艦ガルは戦闘機を乗せて戦いの舞台に出るというのだが……あれ? ガルが戦うんじゃないのか?
最終目的は敵惑星のガーネットスター(これまたネーミングがカッコいい)が擁する宇宙制御装置「ドラッグ」を破壊することなのだが、全30エリアの敵を倒してパーツを100個集めないと「ドラッグ」は出現しない。かなり難易度が高いゲームだったことも覚えている。
さて、パッケージには“RPG”と記載があったが、実際にはシューティングゲームだった。敵を倒し続けるとパワーアップするのだが、コンティニュー機能はないのでやはりRPGとは言えないだろう。
ゲーム内容はともかく、筆者的にはパッケージとネーミングに衝撃を受けた。とくにパッケージにあるタイトルが素晴らしい。頭脳戦艦ガルと思われる戦艦をバックに、インパクトのある「頭脳戦艦」という横に並んだ漢字、そして「ガル」が縦に一文字のように2つ並んでいて漢字の“九”にも見えた。なんだか非常にカッコいいと思ったものだ。
■当時では珍しい変形ロボットが主役のシューティングゲーム『テグザー』
パソコンで人気を博した『テグザー』はゲームアーツから発売されたが、ファミコンに移植されるときはスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されている(12月発売)。
当時では珍しいロボットが変形するゲームシステムだった。シンプルなネーミングだが、正義のヒーローっぽい感じがして子ども心に胸が躍ったな。
ゲーム名にもなっている「テグザー」とは、宇宙空間を移動しながら兵器開発をしている秘密軍事基地「レイピナ」の最新試作兵器だ。レイピナが小惑星・ネディアムの発する磁力線の装置に捕まってしまい、これを撃破するためにテグザーを送り出すという。
でもこれって、レイピナ側の一方的な不法侵入ではないのだろうか……? 正義の味方なのか、イマイチ分からないぞ。
さて、ゲームは飛行タイプとロボットタイプを切り分けながら進んでいく。十字キー操作で簡単に交代できるのだが、ロボットタイプは自動照準でミサイルを発射するという優れもの。ただ、下方向を押すと飛行機に戻ってしまうのが難点だった。うっかり押してしまうぞ……!
そしてこのゲームは敵キャラも多かった。一応バリアがあるのだが、つい忘れてしまい被弾する。狭い場所を通らないといけない場面が多く、切り替えをミスして詰まることも多々あった。
さしたるボスもいないので操作に慣れればクリアできるのだろうが、当時、小学生だった筆者にとっては難しかった思い出しかなかったな……。