■インパクト絶大な悪役キャラ!『千と千尋の神隠し』湯婆婆役の夏木マリ
2001年に公開された『千と千尋の神隠し』で、湯婆婆を演じていたのは女優・夏木マリだ。わずか10歳で異世界に迷い込んでしまった主人公・荻野千尋を「油屋」の主人である湯婆婆が雇ったことで物語がはじまっていく。
湯婆婆は恐ろしい魔女で、油屋のスタッフたちはみんな彼女のことを恐れていた。かくいうハクもその1人で、彼もまた“ある目的”のため湯婆婆に囚われ、こき使われていたのだ。
湯婆婆は顔が異常に大きなインパクトのあるキャラクターだが、とくに彼女が怒ったときの描写はすさまじく、夏木の迫力のある演技により恐ろしさが倍増していた。
また、夏木は作中に登場する湯婆婆の姉・銭婆の声も担当しているのだが、同じ声、同じ顔なのにまったく違うタイプのキャラを演じ分けている。まさに彼女が女優だけでなく、声の仕事でも引っ張りだこなのがうなずける名演技だと思う。
■いい人そうなのが余計に怖い!『ハウルの動く城』サリマン役の加藤治子
2004年公開の『ハウルの動く城』で、魔法使い・サリマンを演じていたのが女優・加藤治子だ。彼女は『七人の孫シリーズ』や『大岡越前シリーズ』などの出演でも知られ、数々のドラマや映画などで活躍した名女優だ。
本作のサリマン役では、加藤の持つ高貴で優しく穏やかな雰囲気がそのまま活かされていたように思う。とくにハウルに異常な執着を見せるシーンや、一般人であるソフィーが巻き込まれているにも関わらず強力な魔法をためらいもなく使うシーンなど、“一見するといい人そう”に見えるのに、隠し持つ“怖さ”を見せる演技は必見だ。
ちなみに、加藤は『魔女の宅急便』の“ニシンのパイ”の老婦人の声も担当していた。ジブリ作品に欠かせない加藤の演技を今後見られないのは本当に残念だが、これらの名作たちで輝きを見せた彼女の演技は今後もずっと色あせない。
スタジオジブリ作品に登場する悪役キャラを演じていた芸能人たちの名演技は、作品で重要なスパイスとなり、身の毛もよだつような怪演や、ヒヤッと肝を冷やすような演技などさまざまな角度からファンを楽しませてくれる。
ぜひこの機会に、悪役キャラを演じている芸能人たちの名演技にも注目して作品を振り返ってみてはいかがだろうか。