メーカーのチャレンジ精神が反映された! ファミコン時代の「マイナースポーツ」を扱ったゲームたち【フジタのコラム】の画像
ファミコンのマイナースポーツゲーム(著者私物)
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 みなさんこんにちは、ゲーム芸人のフジタです。今回はファミコンで扱われた「スポーツ」の世界について振り返りたいと思います。

 ファミコンのスポーツゲームは数あれど、『ファミスタ』に『究極ハリキリスタジアム』に『燃えろ!!プロ野球』などなど、ご存じのように野球が断トツで多いです。続いてサッカー、テニス、ゴルフ、プロレス、そして、バスケ、ボクシング、ホッケーなどが多少出ていますが、やはりメジャースポーツのゲームばかりなのは否めません。

『ハイパーオリンピック』や『ハイパースポーツ』などは、いろいろなマイナー競技が楽しめますが、タイミングが重要ではあるものの基本的には連打のゲーム。『ファミリートレーナー』シリーズも、スポーツゲームではありますが、実際に体を動かすことがメイン。また『くにおくん』シリーズも『いけいけ熱血ホッケー部』などのタイトルがありますが、スポーツベースの格闘アクションゲームということで、これらはファミコンでスポーツを体験するという意味では少し違うのかなと思います。

 実はディスクシステムのほうがマイナーゲームが多かったりします。

 と言いますのも、ディスクカードそのものがファミコンのカセットの1/2ぐらいの価格で、そのためディスクシステムではチャレンジングなゲームが作りやすかったと言われています。

 今回は、ファミコンプロである私フジタの一押しも含めて、カセットの中で、その競技の良さを引き出していたマイナースポーツゲームを紹介したいと思います。

■難しいルールをギリギリに割愛した良作『10ヤードファイト』

 マイナースポーツゲームが少ない理由としては、子どもたちにその競技が浸透しておらず、「おもしろいつまらない」以前に敬遠されてしまうことを危惧して、メーカーも一歩を踏み出せなかったのだと思います。野球やサッカーですら、ゲームでは実際のルールを多少変更割愛する必要があった時代です。

 そんな、扱いが非常に難しいファミコン時代にアメリカンフットボールをテーマにしていたのがアイレムの『10ヤードファイト』です(1983年にアーケードで稼働、1985年にファミコンに移植)。

『10ヤードファイト』

 アメリカでは大人気のアメフトですが、子どもはもちろん大人でもルールを知らない人は多く、日本ではマイナーと言えるスポーツです。そもそものルールが難しいアメフトながらちびっ子たちを魅了し、マイナースポーツゲームのジャンルでは、ファミコン一番のヒット作とも言われているのが今作です。

 こちらのゲームは、大幅にルールを割愛することでアメフトを知らなくても楽しめる内容になっています。攻めのときは敵をかわしながらとにかく進み、守りのときはとにかく敵に突破されないよう味方を固めるというプレイ。分かりやすく、別の競技になりそうなギリギリのところを攻めた良作と言えるでしょう。

『10ヤードファイト』

 2013年に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』ではメンバー全員でファミコンをやる企画「第1回 ガキの使いやあらへんで!! チキチキ懐かしのレトロゲーム ファミコンを遊びつくせ~」が行われ、その際に僕も案内役として出演しました。

『ディグダグ』や『ドンキーコング』を遊び、あまりゲームを知らない浜田さんから当時面白かったからやりたいというリクエストをいただいたのがこの『10ヤードファイト』で、想定されていたタイトルとは違いましたが、急遽やることになったほどです。

 ちなみにその際、浜田さんとは初対面でしたが、あいさつの途中で蹴られました。そんな思い出もあるゲームです。

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