■殺人を呼ぶ本って普通に怖い! DSで完璧となったサウンドノベルの『夜想曲』

 1998年にPSで発売されたのが『夜想曲』(ビクターインタラクティブソフトウエア:現マーベラス)だ。このゲームの原作は『殺人を呼んだ本』(双葉社)で、こちらもミステリーでありながらホラー要素もあるので読み応えがあった。

 “殺人を呼ぶ本”となると普通に怖いものだが、ゲームはサウンドノベルなのでこれまた恐怖を増大させられた。プロローグ、第1話〜第3話、完結編といくつかの隠しシナリオのストーリーがあり、思わぬ展開に本当にハラハラドキドキしたものだ。

 原作をベースに作られた本作だが、読んだ者としてはオリジナル要素が強かった印象だ。マルチエンディングであるし、ファンからすれば原作通りだとすべて内容を先読みしてしまうため、そのほうが面白かったと言える。

 なかでも一番怖かったのは、停電になってから書庫へと降りていくシーンだ。ネタバレになるのであまり明かせないが、ドアを開ける「ギイィ…」という効果音、そして、階段を降りていくと何かが待っているのではないかと連想させる演出。さらに真っ暗な書庫内を進んでいき、床につまづいたときのあのシーン……まさかの展開で心臓が止まりそうだった。これは実際にプレイしてみてほしいな。

 そしてこのゲームは1と2があるのだが、DS版になると両方収録されていてお得だった。しかもタッチペンで操作できるのは簡単だし、人物相関図を見ながら推理できるのは分かりやすかったぞ。

 

 さて、赤川次郎氏原作のゲームは、どれもストーリーは抜群で面白かった。操作性は人によって評価が分かれるところだが、当時のアドベンチャーゲームとしては面白さや怖さが秀逸だったように思う。

 いや〜それにしても懐かしい。忘れてしまっているところもあると思うので、また原作を読んでみたくなってきたな。

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