数々のヒット作を生み出し、昭和から平成にかけてのベストセラー作家・赤川次郎氏。彼の原作を夢中になって読みふけった……という人は多いのではないだろうか。筆者もそんな一人だが、のちに赤川氏の原作はゲーム化されており、かつて読んだ小説がゲームとなって登場したことに興奮したものだった。そこで、赤川次郎氏原作のアドベンチャーゲームを3選紹介していこう。
■原作は問答不要の面白さ! ファミコンで忠実に再現した『赤川次郎の幽霊列車』
まずは、赤川氏のデビュー作であり、第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞した名作『赤川次郎の幽霊列車』(キングレコード)を紹介しよう。
原画にわたせせいぞう氏、音楽にすぎやまこういち氏を起用した本作は、原作に忠実に作られており、主人公・宇野喬一警部を操作して、相棒となる女子大生探偵・永井夕子とともに事件を推理していく。
すでにファミコン末期だった1991年2月に発売され、セーブもできるし、システムも悪くなかった。正直なところ、スーファミだったらもっと評価されていたのかもしれないが、原作の『幽霊列車』自体が短編小説なので容量的にはちょうどよかったのかもしれない。
ちなみに少しネックなのが移動だったが、慣れればそれほど問題ない。ストーリーは絶対的に面白いので、会話に飽きることもなかった。まあ、原作を知っていたほうがニヤリとできたシーンもあったと思うが、知らなかったとしても十分に楽しめただろう。
本作はコマンド選択式アドベンチャーゲームだったのだが、“ゆうこ”コマンドがあるのは面白かったな。彼女はとにかくウインクしまくっていた。
筆者はいつの間にか宇野警部の年齢を追い越してしまっているが、夕子のような存在がいたら……? 宇野警部の気持ちもちょっと分かる気がするぞ。
■どのエンディングが正しいか正直なところ分からなかった…『魔女たちの眠り』
次は、1995年に『スーパーファミコン』で発売された『魔女たちの眠り』(パック・イン・ビデオ:現マーベラス)だ。原作は『魔女たちのたそがれ』『魔女たちの長い眠り』(角川ホラー文庫)で、ミステリーだがホラーの要素が高い作品だった。
サウンドノベル形式なので選択肢によって次のストーリーが変わるのだが、原作を読んだ者としてはあの救いようがないストーリーをどうやってラストまで演出するのだろうと興味が湧いたものだった。
赤川氏も監修しているだけあって、オリジナルの要素があってもやはりストーリーは面白かった。ただ、原作を知らないと村と谷の関係にビックリさせられ、どのエンディングが正しいのかが分からなかったかもしれないな。
実際に原作を読んだときも同じ印象だった。「そっちか!」と、ラストは誰もが騙されたのではないだろうか。ちなみにゲームではとんでもない設定の結末も用意されており、思わずクスっとしてしまうこともあったものだ。