■『氷菓』最終回のあの名シーンも桜…

 そして、忘れられないのは『氷菓』の「桜」だ。小説家・米澤穂信の『古典部』シリーズを原作にした本作で、古典部の部長にして「好奇心の猛獣」千反田えると「省エネ主義者」の探偵・折木奉太郎たちがさまざまな謎を解き明かすストーリー。

 とくに本作の最終話、22話の「遠回りする雛」が素晴らしい。「生きびな祭り」にお雛様役として参加するヒロインのえるというハイライトも去ることながら、祭りの後、二人が桜の中を並んで歩き、ラブストーリーとしての本作の「新たな始まり」を予見させて終わっていく…。この場面では空が黄昏になり、桜色の光が瞬くという大胆な演出も見事で、頬を赤らめる二人の姿が美しい。この劇中登場の桜は、岐阜・飛騨高山の樹齢1100年あまりの桜がモデルとか。…いつか行ってみたいものだ。

 京アニ制作アニメの「桜」はこれ以外にもたくさん存在。ぜひ他の作品でもあなたが胸打たれる「桜の名所」を探してみてほしい!

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