主人公役、ライバル役でもなく…『BLUE SEED』だった

 井上さんの声優デビューは、73年。その中で山岡士郎以外の主人公役も数多い。そのキャリア初期の中での代表作は79年放送の『サイボーグ009』の009こと島村ジョー役に違いない。また85年の知る人ぞ知るロボットアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』の主人公・エイジなど、後年のゲームなどを通じて知った人も多いだろう。
 一方、ライバル役でも数々の印象的なキャラクターを演じている。たとえば、『機動戦士Zガンダム』 (85年)で主人公カミーユと死闘を繰り広げるエース・パイロットのジェリド・メサ役。ほかにも『プロゴルファー猿』(同)で猿のライバル・剣崎健、『タッチ』(85年〜01年)で、上杉達也の野球&恋のライバル・新田明男などが筆頭か。いずれの役でも独自のハンサム像を見せつけてくるのが、井上さんらしい。
 しかし、筆者が最初に井上さんの声を認識したのは『BLUE SEED』の草薙護。主人公の少女で林原めぐみさんが演じた紅葉を守護するため、魂(みたま)を体内に宿し、腕から刃を出して闘うキャラクターだった。しかも日常場面ではラッキースケベに巻き込まれたり、三枚目な一面も見せてくれるツンデレキャラ。ミステリアスなのに、人間味溢れるという草薙役は、いまでも井上さんの代表作だと思っている。
 最近は『名探偵コナン』(01年〜)の刑事・白鳥任三郎役で大活躍し、『鬼滅の刃』(19年〜)の継国縁壱役を演じることも発表され、話題の井上さん。外画吹き替えの世界でも圧倒的作品数で、マッツ・ミケルセンほか、抜群の硬軟を演じるその芝居力から、これからも目が離せない!

 

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